
麻布大学附属高等学校様 活用事例 語彙力強化×学習意欲向上×効率化|三位一体の成果を実現したMonoxer活用法とは?
導入組織について
神奈川県相模原市にある私立の共学校。校訓に「誠実・協調・博愛・奉仕」を掲げ、生徒一人ひとりの個性と学力に応じた教育を実践している。難関大学合格を目指す「S特進クラス」「特進クラス」「進学クラス」の3クラス制を設置し、きめ細やかな進路指導と学習サポートが特徴。知識の習得だけでなく、社会に貢献できる人材の育成を目指している。 |
活用サマリー
Monoxer活用シーン/科目 | ・学年: 高1〜3 |
|---|---|
導入目的 | ・語彙力を中心とした学力定着と、主体的に学ぶ生徒の育成 |
課題 | ・基礎的な語彙の暗記が継続せず、学習意欲や評価精度にもばらつきがあった |
取り組み | ・週20個・2週間サイクルで“やり切れる量”を設定 |
効果 | ・学内平均点が向上し、模試においても漢字・古文分野の正答率が全国平均を上回る |
今回お話を伺った方

横山 麻美 先生
・現在担当しているお仕事:国語科主任、進路主任、広報SNS、バドミントン部顧問、ワンダーフォーゲル部顧問
・領域について:現代文を主に担当
・お仕事で大切にしていること:優先順位、感謝の言葉
・趣味:クラシックバレエ、着物
【導入目的】学力定着と主体的学習の実現
― 学校として、どのような教育方針を重視されていますか?
― 横山先生
本校は高校単独の私立校で、神奈川県内には中高一貫校や大学附属校もあります。その中で外部進学を目指す生徒が多く、自分の力で勉強し、希望進路を切り拓く力を育むことを重視しています。高校受験でうまくいかなかった経験を持つ生徒もいますが、そうした生徒も含め、自発的な努力で望む進路を実現する力を身につけてほしいと考えています。
― 在籍されている生徒の特徴について教えてください。
― 横山先生
中学受験を経験していない生徒が多く、公立高校との併願で入学する生徒が半数以上です。学力は全国平均程度の層が中心で、国公立・私立・専門学校など多様な進路を目指す生徒が在籍しています。学習意欲もさまざまで、勉強に前向きな生徒もいれば、苦手意識を持つ生徒もいます。だからこそ、勉強の「やり方」や「続け方」を身につけさせることが大切だと感じています。
― 先生方と生徒、双方の理想像についてはいかがですか?
― 横山先生
生徒たちからは「高校生活をキラキラさせたい」という声をよく聞きます。その“キラキラ”が何を意味するかは人それぞれですが、学校行事・部活動・恋愛など、充実した高校生活を送りたいという思いが共通しています。
教員としては、行事も勉強も部活も、どれもメリハリをもって全力で取り組んでほしいと考えています。努力することの楽しさや、頑張ることで得られる達成感を高校生活の中で実感してもらいたいですね。
― Monoxer導入前は、どのような課題を感じていましたか?
― 横山先生
一番の課題は「語彙力」でした。語彙が不足していると読解力や表現力の伸びにも限界があり、進路実現にも影響します。ただ、生徒たちは基礎的な語彙の暗記を退屈に感じてしまう傾向があり、なかなか継続的に取り組めません。
あとは、従来の小テストは生徒同士で採点する形式でしたが、友人同士で甘く採点したり、誤答を正解にしてしまったりするケースもありました。正確な評価が難しく、先生側の採点・集計の負担も大きかったんです。

― そうした課題を受けて、Monoxerの導入を決められた理由は何だったのでしょうか。
― 横山先生
「書いて覚える」ことを重視できるデジタル教材を探していたところ、Monoxerを知りました。手書きで学習できるうえに、採点も正確で、筆順まで確認できるという点に惹かれました。集計や管理の効率化が期待できたことも大きかったです。
― ご導入後の評価はいかがでしょうか。
― 横山先生
先ほどの内容以外だと、選択形式もあるので読解問題にもバリエーションを広げられる点や、状況に応じてAIがヒントを出すなど難易度を調整してくれる点などは良いですね。
それとAIによる採点精度も高く、機能のアップデートも早いと感じています。当初は、手書き漢字の「はね」の判定が厳しいかなと感じた場面もありましたが、今はそれも解消されています。困りごとがあればサポートの方々と密にやり取りできますし、運用面も安心です。
【効果実感】学習の "見える化" で点数向上と意欲喚起を実現
―実際にご活用いただき、どのような効果を感じられましたか?
― 横山先生
まず、定量的な効果としては明らかに平均点が上がりました。特に古文の基礎単語や漢字の書き取りテストでは、「1問1答形式の問題の平均点が上昇した」という実感があります。以前は自主的に取り組む子とそうでない子の差が大きかったのですが、Monoxerを導入してからは“最低限の底上げ”ができたと感じています。全国平均と比べても、特定の単元で明らかに正答率が高く、そこはMonoxerの力だと思っています。
―どのタイミングで成果を感じ始めましたか?
― 横山先生
導入初年度の最初の定期試験の段階で、「採点が楽になった」という声が上がりました。字が丁寧になり、形も整っているので採点しやすくなったのを、国語科の教員皆が実感できたんです。
点数の面では、最初のテストから平均点が上がり始め、満点近く取る生徒も増えました。全国平均より上がっていると確信できたのは、導入から1年ほど経った頃です。追跡しても明らかに漢字分野の成果が安定して伸びていましたね。

―点数だけでなく、生徒の意識面でも変化はありましたか?
― 横山先生
とてもありました。これまではテスト直前の10分休みだけで復習していた生徒が多かったのですが、Monoxerを使うようになってから「やらなきゃ」と意識するようになりました。アプリ上で自分の進捗がパーセンテージで表示されるため、「あと〇%だ!」「自分はまだここまでしか終わってない」といった会話が生徒同士で自然に生まれています。
部活の合間や休み時間でも「今どこまで終わった?」といったやり取りが増えて、学習が日常会話に溶け込むようになりました。学習が“可視化”されたことで、良い意味での競争意識が芽生えたと思います。
―先生方の側では、どのような変化がありましたか?
― 横山先生
テスト作成と集計の手間が減りましたね。以前は印刷や採点、集計に時間がかかっていたのですが、Monoxerで一度問題を作れば使い回せますし、全員が同じ基準で集計できるのが大きいです。成績をつける時にも「Monoxer達成度が〇%ならこの評価」といった共通基準を設けられるため、教員間で連携しやすくなりました。
私自身が問題作成を担当しているのですが、従来の手間よりも圧倒的に効率的です。今後は他の先生方にも、より気軽に使ってもらえるようにしていきたいと思っています。
【活用方針】語彙力の定着を目的に “授業内5分+自宅学習” で継続運用
―国語科ではどのような目的でMonoxerを活用されていますか?
― 横山先生
国語科では「語彙力をとにかくつけてほしい」という目的で活用しています。国語の学習は、自宅でできる宿題が意外と少なく、「自宅で簡単にできる学習を何か用意できないか」と考えたときに、Monoxerが非常にマッチしました。スマートフォンやiPadから気軽に取り組めるため、生徒にとっても“毎日続けやすい学習”になっています。実際、iPadだと夢中になってずっと学習している生徒も多いようです。

―具体的には、どのように配信・運用されているのでしょうか?
― 横山先生
2週間を1つのサイクルとして、40個の漢字や古文単語を学習する形でタスクを配信しています。2週間後には小テストを実施し、その内容を定期テストの範囲にも組み込んでいます。
―授業内でも活用されているそうですね。
― 横山先生
はい。授業内で毎回5分間、Monoxerの時間を確保しています。いまでは生徒の中にすっかり定着していて、教員が少し遅れて入ると勝手に始めていることもあるくらいです(笑)。“やるのが当たり前”になっていて、教室のあちこちからカツカツというタップ音が聞こえるんです。
また、自習時間にも「何をすればいいかわからない」と悩む生徒には、「まずMonoxerをやりなさい」と声をかけています。自然と学習に取り組む流れができており、先生側も非常に助かっています。

―先生方の間では、どのように役割を分担されているのでしょうか?
― 横山先生
Bookの作成とタスク配信は古典と現代文で担当者が1人ずついて、学習進捗の確認は教科担当が行っています。「Monoxerを使った方が楽だ」となるように、中心担当以外の教科担当の負担はできるだけ少なくしているんです。
【活用ポイント①】週20個の配信で“ちょうどいい負荷”を実現
―Monoxerでの学習内容について、どのような点にこだわっていますか?
― 横山先生
漢字の書き取り学習は、週に20個という量に固定しています。導入前に私たち教員自身でシミュレーションを行い「大人でもこれ以上は嫌になる」と感じた量を基準にしたんです。
以前は、50個や100個の中から出題するような形式でテストをしていましたが、その方法では“覚えたつもり”になってしまうことが多く、効果が見えにくかったんです。実際に体験してみて、量を絞ることで確実に定着するということが分かりました。
―量を調整する中で、運用の工夫などはありましたか?
― 横山先生
学習計画機能を設定して配信しているのですが、学習を繰り返す回数を、初期の3回繰り返す設定から「2回」に変更しました。小テストと定期テストの2回で確認できるため、これがちょうど良い負荷になっています。
特に、繰り返し回数を減らしたことで生徒も「無理なく続けられる」と感じ、生徒の不満がぐっと減りましたね。以前は「多い」「終わらない」と感じる生徒もいましたが、“やり切れる量”にしたことで学習が前向きになりました。
結果的にアクティブ率も高く、全体で8割以上を維持できています。
―実際に学習の進捗や生徒の反応を見て、どんな変化を感じていますか?
― 横山先生
進み具合を示すパーセンテージ表示が良い刺激になっているようで、「あと少しで100%になる」と自然に頑張るようになりました。生徒からも「このくらいの量ならやりやすい」「短時間で終えられて達成感がある」という声が多いです。
また、学習計画の設定も柔軟にしています。普段は学習計画ありで配信していますが、長期休暇や3年生の時期などは計画なしにして、自分のペースで進められるようにしています。時間を自由に使いたいという生徒のニーズにも応えられる点がMonoxerの良さですね。
活用ポイントまとめ ・週20個の漢字配信で、“やり切れる量”と定着効果を両立 ・繰り返し回数を3回→2回に調整し、生徒の不満を解消 ・学習計画を時期に応じて変更し、学習習慣の継続をサポート |
【活用ポイント②】モチベーションを引き出すリアクションとフォロー
― 生徒のやる気を引き出すために、どのような工夫をされているのでしょうか?
― 横山先生
生徒たちの進捗状況を確認しつつ「リアクション」を送るようにしています。特に「週に1回はスタンプなどで反応を返すように」と先生方にお願いしています。
私自身も「今週クラスで一番頑張ってるね!」といったコメントを送ることがあります。担当しているクラスはシャイな生徒が多いですが、そうした声かけがきっかけで、学習に前向きな雰囲気が生まれています。
また、進捗状況は電子黒板で共有しており、クラス全体で「どこまで進んでいるか」を可視化しています。みんなの前で「ここまでやってるね」「おい、やってないじゃないか(笑)」と声をかけることで、自然と教室内に良い競争意識が生まれています。

― 学習成果の評価にもMonoxerを活用されていると伺いました。
― 横山先生
はい。成績をつける際にもMonoxerのデータを参考にしています。普段の授業では学習計画に対しての「到達度」を重視し、長期休暇中は「記憶度(正答率)」で評価しています。
評価の基準は基本的に90%以上で満点としています。つまり、9割の定着を目指すという明確な目標があり、生徒もそこを一つの指標として努力してくれています。特に現代文では授業の最初の5分をMonoxerに充て、進みが遅れている生徒には直接声をかけてフォローするようにしています。
活用ポイントまとめ ・Monoxer上で進捗に応じたリアクションを送ることで、生徒のやる気を引き出す ・電子黒板で進捗を可視化し、クラス全体で自然な競争意識を醸成 ・成績評価に到達度・記憶度を活用し、明確な目標(90%以上)で努力を促進 |
【活用ポイント③】組織浸透は、役割を絞り、無理なく続く仕組みを
―導入当初、校内でMonoxerを浸透させていくうえで、どのような工夫をされたのでしょうか。
― 横山先生
まず大きかったのは、国語科の先生方にICTに対して抵抗感が少なかったことです。国語科の中でも「効率よくできるなら積極的に取り入れたい」というタイプの先生が多く、紙の小テストを手作業で処理するよりも、少しでも業務を効率化したいという意識が共有されていました。
また、「作問者」と「配信者」の役割を明確に分け、担当を絞ったことも成功要因でした。作問は現代文・古文それぞれ1名が担当し、配信は各学年1名が担う体制にしたことで、その他の先生方はボタン1つで配信を確認するだけ。これによって、全体の業務負担が紙テスト時の何分の一にも減ったと思います。
―役割分担を明確にされたことで、先生方全員が迷わず動ける環境が整ったのですね。
― 横山先生
そうですね。全員が一律で何かを覚えたり、全体会議を重ねたりするのではなく、「やる人を絞って、それ以外の人は簡単にできるようにする」方針を徹底しました。
活用状況の共有についても、わざわざ会議を開くのではなく、授業や成績処理のタイミングで必要に応じて話す程度にしています。みんな忙しいので、「集まるより、空き時間で雑談しながら共有する方が合理的」という文化が自然に根付いていました。
―運用が上手く回っている理由はどんなところにあると思いますか?
― 横山先生
担当者がほぼ私1人というのもありますが(笑)、教材自体はこれまで使ってきた信頼のあるテキストをベースにしているので、先生方にも安心感がありました。紙ベースで行っていたことをそのままデジタルに置き換えた形なので、「特別なことをしている」という感覚がないのも良かったと思います。
また、以前は小テストを行うたびに採点・集計など細かな作業が必要でしたが、Monoxer導入後は業務量が大幅に削減され、さらに可視化された学習データで効果を実感できるようになりました。それが先生方のモチベーションにもつながっていますね。
―これからMonoxerを導入しようとしている先生方へ、アドバイスをいただけますか。
― 横山先生
「手間をかければ覚える」というのは、ともすると教員のエゴかもしれません。もちろん、対面で教える場の価値はありますが、その前段階の基礎的な学習や反復練習は、もっと負担をかけずに進められる方法があると感じています。
また、感情的なハードルが高い先生に対しては無理に使ってもらうのでなく、あえて「その先生の判断に委ねる」ようにしました。その教科のことは担当の先生が一番よく理解されていると思うので。論理だけでは動かない場面もありますし、“頑張りすぎず、できるところから始める”姿勢が大切だと思います。
活用ポイントまとめ ・役割を明確化し、作問・配信の担当を絞ることで全体の負担を軽減 ・会議を最小限にし、日常の中で自然に情報共有できる仕組みづくり ・感情的ハードルを無理に超えようとせず、「できる範囲から」始めて成果を示す |
【今後の展望】学習を「負担」から「楽しさ」へ
―今後の展望について、Monoxerの活用も含めてお聞かせください。
― 横山先生
ICTにはまだ“感情的なハードル”を感じる先生もいますが、反復学習のように「手間をかけずに成果を出せる部分」から広げていけば、学校全体の業務負担も確実に減らせると考えています。本校もその土壌が少しずつ整ってきています。基礎的な反復学習が効率化されれば、先生方は「本来伝えたかった教科の面白さ」を生徒に届ける時間が増えるはずです。
国語であれば、言葉の面白さや作品の奥深さを体感できる時間を重視したいですね。こうして生徒が「勉強=義務」ではなく「楽しいからやる」と感じられる環境を、学校全体で作っていきたいです。最終的には、誰が教えても一定の成果と満足度が得られるカリキュラムを目指し、先生も生徒も前向きに学べる場を整えていきたいと思います。




