スキル管理とは?成果につなげる方法や運用方法を8ステップで解説

人材不足の深刻化や働き方・人材の多様化が進む中で、従業員のスキルを把握するための「スキル管理」は、企業の目標達成に欠かせない取り組みとなっています。

一方で、その重要性は理解していても、現場の生産性向上や人材育成になかなかつながらず、形だけの運用にとどまっているケースも少なくありません。

本記事では、スキル管理の基礎知識や業務上必要な3つのスキル、スキル管理の流れ、運用のポイントなどを分かりやすく解説します。スキル管理に課題を感じている企業担当者の方は、ぜひ参考にしてください。


スキル管理とは?

スキル管理とは、従業員が持つ能力・知識・資格・経験といったスキル情報を可視化し、管理する仕組みのことです。「誰が何をできるか」を組織として一元的に把握し、人材育成や適切な配置に活用できます。

スキルとは、一般的に「知識」と「経験」が掛け合わさったものです。しかし、多くの企業では職務経歴など「経験」の管理にとどまり、業務に必要な「知識」まで把握できていないケースも少なくありません。

スキル管理は、目的や役割を正しく理解した上で運用することが大切です。ここでは、スキル管理が注目される背景と、混同されがちな「タレントマネジメント」との違いについて解説します。

スキル管理が注目される背景

スキル管理が注目される背景には、労働人口の減少、DX推進、グローバル競争の激化など、企業を取り巻く環境の変化があります。限られた人材の有効活用や、最適な配置と定着率の向上をいかに実現するかは、多くの企業にとって重要な経営課題です。

また、リモートワーク導入などによる働き方の多様化や業務の複雑化により、従業員のスキル把握は以前より難しくなっています。そのため、属人的な判断に頼るのではなく、従業員一人一人のスキルを客観的に可視化する仕組みが求められています。

さらに、2023年以降、大手上場企業を中心に「人的資本の情報開示」が義務化されました。従業員のスキルや能力の把握と育成への取り組みは、社外から評価される指標にもなっています。

参考:
「企業内容等の開示に関する内閣府令」等の改正案の公表について:金融庁

タレントマネジメントとの違い

スキル管理と混同されがちな概念に「タレントマネジメント」があります。タレントマネジメントとは、従業員のスキル・評価・経験・適性といった人材データを統合的に管理する人材管理手法です。

個々の長期的なキャリア開発に焦点を当てつつ、組織全体のパフォーマンス向上や中長期的な経営目標の達成を目的としています。

一方、スキル管理は「今この時点で、誰がどのようなスキルを持っているのか」に焦点を当てた取り組みで、タレントマネジメントを構成する要素の一部です。そのため、タレントマネジメントを実現するためには、スキル管理が不可欠といえます。

「カッツ・モデル」から見る業務上必要な3つのスキル

スキル管理で扱うスキル情報は多様ですが、性質ごとに幾つかのタイプに分類できます。

ここでは、スキル管理で押さえておくべき「業務上必要な3つのスキル」を、アメリカの経営学者ロバート・L・カッツ氏が提唱した「カッツ・モデル」を基に解説します。

テクニカルスキル(業務遂行に必要な専門スキル)

テクニカルスキルとは、職務遂行に必要な知識や実務スキルを指します。業務の質・スピード・精度に直結する要素であり、特に現場に近い職種や担当者ほど重要なスキルです。

テクニカルスキルは、大きく次の3つに分類できます。

  • 汎用スキル
  • 専門スキル
  • 特化スキル

汎用スキルは、日常業務を遂行するためのベースとなるスキルを指します。ビジネスマナー、基本的なパソコン操作、語学力など、多くの業種・職種に共通して求められるスキルです。また、自社の商品や業界に関する基礎知識なども汎用スキルに該当します。

専門スキルは、特定の業種や職種で必要となるスキルです。IT業界におけるプログラミングスキルや、営業職における交渉力などが挙げられます。担当業務の成果を左右する中核的なスキルといえるでしょう。

特化スキルは、国家資格レベルの専門知識や高度な技術など、より高い専門性が求められ、市場価値や希少性の高いスキルを指します。組織にとっては、競争力の源泉となる重要なスキルです。

「ビジネスマナー」や「商品知識」「業界用語」といった汎用スキルは、暗記・知識定着によって比較的短期間で習得しやすい点が特徴です。

ヒューマンスキル(人間関係構築・コミュニケーション能力)

ヒューマンスキルとは、チーム内の調整や部下育成、円滑な社内コミュニケーションを支える対人関係スキルのことです。職種を問わず求められるスキルであり、職場の心理的安全性確保にとっても欠かせません。

ヒューマンスキルの要素としては、主に以下の8つが挙げられます。

リーダーシップ

チームをまとめ、方向性を示す力

コミュニケーション能力

他者とスムーズに意思疎通する力

ネゴシエーション能力

利害関係を調整し、合意形成を図る力

プレゼンテーション能力

考えや提案を分かりやすく伝える力

ファシリテーション能力

中立的立場から会議や議論を建設的に進める力

コーチング能力

相手の成長を引き出す関わり方ができる力

ヒアリング能力

相手の意図や本音を正確に引き出す力

向上心

学び続け、より良いあり方を模索する姿勢

これらのスキルは数値化が難しく、評価が感覚的になりやすい傾向があります。そのため、スキル管理においては「報連相の頻度」「部下へのフィードバック行動の回数」など、具体的な行動指標に落とし込んで管理することがポイントです。

コンセプチュアルスキル(抽象化・課題解決・戦略思考)

コンセプチュアルスキルとは、起きている事象を整理・抽象化し、問題の本質を捉えて解決へ導くためのスキルです。

代表的な要素としては、以下の15種類が挙げられます。

ロジカルシンキング

筋道を立てて考える力

ラテラルシンキング

固定観念にとらわれず発想する力

クリティカルシンキング

前提や常識を疑い、思考を展開する力

問題解決思考

課題を特定し、本質的な解決策を導く力

仮説思考

仮説を立てて検証する力

戦略的思考

要因や条件を分析して戦略的な思考を展開する力

ビジョン構想力

将来像を描き、ビジョンを策定する力

俯瞰力

全体像を眺め、高い視座から物事を見る力

多面的視野

複数の視点から物事を捉える力

知的好奇心

新しい知識や考え方を学ぼうとする姿勢

探究心

表面的な理解で終わらせず、深掘りしようとする姿勢

受容性

異なる意見やさまざまな状況を受け入れる力

柔軟性

状況に応じて考えや行動を変えられる力

先見性

将来の変化を見越して考える力

応用力

得た知識や前例を別の場面で生かす力

これらは抽象的、概念的な能力で、従業員の階層や役割によって重視される要素が異なります。たとえば、現場担当者にはロジカルシンキング、管理職には問題解決思考、経営層には戦略的思考など、役割に応じたコンセプチュアルスキルがより強く求められます。

【8STEP】スキル管理の流れとスキルマップ作成方法

スキル管理は、目標を定めた上でスキルマップを作成し、評価・運用していくのが基本的な流れです。以下では、より理解しやすいように8つのステップに分けて解説します。

STEP1:スキル管理の目的を明確化する

目的が曖昧なままでは、管理すべきスキル項目の優先度も曖昧になり、現場で活用されない形骸化した取り組みになりやすくなります。そのため、本格的にスキル管理に着手する前に、まずは導入する目的を明確にしましょう。

この段階で重要なのは、自社や現場にとって重要なスキル、あるいは不足しているスキルは何かの見極めです。現在抱えている課題によって、管理すべきスキルの種類や優先順位は変わります。

また、スキル管理に取り組む単位(部署・事業部門・全社など)によっても、目標の粒度は異なります。たとえば、部署単位なら業務直結の実践的なスキル、全社単位なら中長期的な人材育成を見据えた設計が重要になるでしょう。

STEP2:スキル項目を選定する

目的を明確にしたら、次はスキルマップに盛り込むスキル項目の選定に進みましょう。ここでは、全社共通の項目の他に、業務内容や部署の役割に応じて必要なスキルを整理します。

有効なのは、思い付くスキルをいったん全て洗い出す方法です。業務遂行に必要な知識・経験・行動・資格などを幅広く書き出した後、目的に照らして不要なものを削っていきます。この進め方であれば、最初から絞り込みすぎて重要なスキルが抜け落ちるといった過不足を防ぎやすくなります。

また、「コミュニケーション力がある」「業務理解度が高い」といった漠然とした表現のままでは評価が難しく、人材配置や育成に十分には生かせません。スキルはできるだけ具体的な項目に分類することがポイントです。

たとえば、「パソコンスキル」という大項目であれば、

  • Excelなどのソフトの基本操作
  • マクロを使った業務効率化

といった形で小項目に細分化します。

STEP3:スキル項目を難易度別に振り分ける

スキル項目を洗い出した後は、それぞれのスキルを難易度別に整理していきます。

同じ職種や業務で求められるスキルであっても、全てが同じレベルとは限りません。あらかじめ難易度で分類しておくことで、スキルマップが単なる一覧表ではなく、成長段階を示す資料として機能するようになります。

また、こうすることで従業員自身も自分のレベルや次に身に付けるべきスキルを把握しやすくなり、学習や自己成長への意識向上につながります。

STEP4:スキルの習熟度レベルを設定する

スキル項目を整理したら、次に行うのは習熟度レベルの設定です。各スキルを「できる/できない」の二段階で評価してしまうと、成長度合いや差が見えにくく、育成や配置判断に十分生かせません。

一方で、レベルを細かく設定しすぎると評価が難しくなり、運用負荷も高まります。そのため、スキル管理では3~5段階程度の習熟度レベルを設定するのが、一般的かつ実務に適した方法です。

ただし、レベル分けして数字を付けただけでは評価者によって判断が異なり、スキル管理の信頼性が損なわれる可能性があります。各レベルの評価基準を具体化しておきましょう。

たとえば以下のように、行動ベースで定義すると曖昧さを排除しやすくなります。

<例>
レベル1:用語や基本事項を説明できる
レベル2:指示を受けて業務を遂行できる
レベル3:一人で業務を完遂できる
レベル4:他者に説明・指導ができる
レベル5:改善提案や応用ができる

このように行動基準で定義することで、評価者によるばらつきを抑え、客観的なスキル評価が可能になります。

STEP5:スキルマップ運用ルールを決める

スキルマップ作成の際は、運用ルールも併せて定めておきましょう。

まず、スキルマップの使い方や評価基準、評価者の選定基準などを整理しましょう。スキルマップ導入の目的や背景、管理を担う部署と責任者も明記しておくと、「なぜ行うのか」「誰が管理するのか」が共有され、現場の理解も得やすくなります。

評価欄は、自己評価と上司評価の両方を記入できる設計にするとよいでしょう。これにより評価の偏りが出にくくなり、人事評価や育成計画にもつなげやすくなります。

なお、運用ルールは一度決めたら終わりではありません。実際に使ってみると問題点が見えてくることもあるため、定期的に見直しと更新を行い、現場にフィットした形へ改善していきましょう。

STEP6:スキルマップを作成する

運用ルールが固まったら、スキルマップの作成に進みます。これまでに整理してきたスキル項目や習熟度レベルをスキルマップのフォーマットに落とし込みましょう。「所有スキル」と「レベル」を一覧にして、誰がどのスキルをどの程度のレベルで保有しているのかを組織として把握できる形にします。

フォーマットを作成する際は、厚生労働省が公開している「職業能力評価シート」を活用するのも有効です。職種ごとに必要なスキルが整理されており、スキルマップのたたき台として使えます。

参考:
キャリアマップ、職業能力評価シート及び導入・活用マニュアルのダウンロード|厚生労働省

STEP7:スキルマップを使ってスキル評価を実施する

スキルマップが完成したら、実際に従業員ごとのスキル評価を入力していきます。

この際、最初から全社展開するのではなく、一部の部署や対象者に限定して試験的に運用を進めるとよいでしょう。試験運用を実施すれば、課題を事前に把握し、本格導入前に改善できます。

STEP8:継続的に更新し、改善を回す

スキルマップを導入した後は、配置転換やプロジェクトアサイン、人材育成計画の策定などに活用し、その効果を検証していきます。

運用を進める中で、評価基準の曖昧さや運用負担の大きさといった課題が見えてくることも少なくありません。その場合は、スキル項目や習熟度レベル、運用ルールを見直し、より現場に合った形へ改善していきます。

また、市場環境や事業戦略、職務内容は常に変化しており、自社の目標や従業員に求められるスキルも変わる可能性があります。そのため、スキル体系や評価基準も定期的な見直しが必要です。年に1回や半年に1回など、あらかじめ更新のタイミングを決めておくとよいでしょう。

スキル管理を成功させる運用のポイント

スキル管理は、スキルマップを導入しただけで必ず効果が出るものではありません。スキル管理を形骸化させず、最終的な目標達成に生かすためには、幾つかの注意点があります。

ここでは、スキル管理を成功させるために押さえておきたい運用上のポイントを4つお伝えします。

管理体制も含めて整える

スキル管理を成功させるためには、スキル項目の設計や評価方法だけでなく、それを支える管理体制の整備が欠かせません。

スキル管理導入時に以下のような点も併せて決めておくと、効果的に運用しやすくなります。

  • 運用後の効果測定方法
  • 管理の手順

また、組織全体でスキルを共有できる環境を整えることも大切です。必要な人が必要なスキル情報にアクセスできることで、適切な人員配置や育成計画の基盤として実際に機能するようになります。

スキル項目を増やしすぎない

スキル管理に取り組む際に陥りやすいのが、管理するスキル項目を増やしすぎてしまうことです。網羅的に項目数を増やすと、評価や更新の負担が大きくなり、結果として運用が回らず失敗につながりやすくなります。

そのため、スキル管理で扱うスキル項目は、重要度の高いものを優先しましょう。目安として、項目数を30以下に抑えると、現場で扱いやすくなります。

また、スキル項目はただ漠然と設定するのではなく、具体的な業務フローや現場従業員へのヒアリング結果を基に設計することも大切です。これにより、スキル管理の精度と実用性が高まります。

継続更新の仕組みをつくる

スキル管理がうまくいかない原因の一つに、スキルマップの内容が更新されないまま放置されてしまうことがあります。導入時に丁寧に設計しても、スキル定義や評価基準が古くなれば、実態とかけ離れてしまうからです。

市場や社会情勢の変化、技術革新のスピードが加速する中で、組織に必要なスキルは変化しています。たとえば、新しいツールや業務プロセスが導入されれば、従来は不要だった知識や能力が求められる場合もあるでしょう。

そのため、スキル情報が古くならないよう、更新のタイミングを決めて定期的に見直すことが重要です。

スキルマップ作成・評価後のアクションも決める

スキル管理は、スキルマップを作成し、評価するだけでは十分とはいえません。現状を可視化した後、その結果をどのように活用するかによって、取り組みの価値は大きく変わります。

そのため、基準に満たないスキルに対するフォローアップ施策など、評価とその後のアクションをセットで運用しましょう。たとえば、該当スキルに対する研修の実施やOJTの強化、個人の目標の再設定など、評価結果が次の行動につながって初めてスキル管理が機能するといえます。

スキル管理を「やって終わり」にしないためにMonoxerを活用しよう

ここまで、スキル管理の考え方や進め方について解説してきました。しかし本当に重要なのは、仕組みをつくることではありません。前述した通り、スキルを可視化した後に、それを現場の行動や成果にどうつなげるかがポイントになります。

そこで以下では、スキル管理の評価から学習・習得までを一貫して回していくための具体策として、学習ツール「Monoxer」を活用するメリットを紹介します。

「知っているつもり」を可視化する

スキルマップ上で「商品知識レベルA(詳しい)」と自己申告していても、実際にテストしてみると十分に理解できていない、というケースは珍しくありません。

「知っているつもり」と「定着した知識」には差があるにもかかわらず、試験の合否だけでその違いを把握するのは難しいのが実情です。

Monoxerを活用すれば、記憶度(知識の定着度)を0~100%の数値で客観的に把握できます。これにより、一人一人に合わせたスキル管理・育成が可能です。

管理のための管理をなくす

スキル管理で問題になりやすいのが、管理そのものに時間や手間がかかってしまう点です。上司が部下のスキル状況をヒアリングし、内容をまとめる作業は、できる限り減らしたいところでしょう。

Monoxerなら、学習履歴がスキルデータとして自動的に蓄積され、管理職はダッシュボードを確認するだけで、誰が何を習得しているのかを一目で把握できます。こうして可視化されたデータは、配属先の検討や店舗シフトの編成など、現場運営の判断材料としても活用できます。

スキルの習得までカバーする

多くのスキル管理ツールは「管理」までで役割が止まりがちですが、Monoxerはその先の学習・習得までをワンストップで支援できる点がメリットです。

Monoxerを導入した株式会社ビックカメラ様では、「隙間時間で繰り返し問題を解く学習」が知識の定着に効果的であると確認されました。販売員育成で重要視されている「家電製品アドバイザー」の資格試験では、Monoxerを活用したユーザーの合格率が、未使用の場合と比べて約10%高いというデータも出ています。

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e-ラーニングを導入している企業は多いものの、動画を視聴するだけで終わり、知識の定着度までは把握できないケースも少なくありません。Monoxerを活用すれば、理解度や定着度を反復学習によって底上げし、実務に生かせるスキル習得が期待できます。

まとめ

スキル管理を形骸化させず、現場で本当に使えるものにするには、管理そのものを目的にしない視点が重要です。管理工数を最小限に抑えながら、学習状況や習得度を可視化し、そのデータを配置や育成に生かせれば、組織全体の生産性は大きく向上するでしょう。

Monoxerは、学習履歴がそのままスキルデータとして蓄積され、学習から習得までを一気通貫で支援できる点が強みです。効率的で実践的なスキル管理を実現したいとお考えの方は、Monoxerの導入をぜひご検討ください。

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