
隙間時間に繰り返し問題を解くことが試験合格の鍵 - 店舗販売員の家電製品アドバイザー資格取得率を向上
デジタル家電や生活家電をはじめとした、人々の生活に密着した商品を取り扱う株式会社ビックカメラ様は、創業以来“お客様喜ばせ業”や“より豊かな生活を提案する、進化し続ける”こだわり”の専門店の集合体”を掲げ、商品に関わる高い専門知識を持った販売員の育成に力を注いできました。販売員の資格取得学習支援としてMonoxerを導入し、さらに活用の幅を広げ続けるーー貴重な事例を伺いました。(本記事は、2025年3月6日取材時の内容になります。)
お客様情報
⚫︎企業名:株式会社ビックカメラ
⚫︎ 業種:流通・小売
⚫︎ 従業員数:1000~4999人
⚫︎ 取材ご対応者様:人事部 人財開発チーム 課長職 稲田晋 様
Monoxer活用シーン
⚫︎推進部署:人事部 人財開発チーム
⚫︎学習者属性:店舗販売員
⚫︎学習者数:330名
⚫︎活用シーン:家電製品アドバイザー試験の資格取得支援
⚫︎Monoxer導入年度:2024年
導入事例サマリー 導入背景(目的・課題)
取り組み
効果
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目次[非表示]
【導入背景】専門知識を備えた販売員の育成において、家電製品アドバイザーの資格取得は重要な位置付けであった
ーー稲田様が所属する人事部のミッションや目標を教えてください。
弊社ではMonoxer導入以前から販売員の資格取得のための学習支援を行い、家電製品アドバイザー資格の取得を後押しする環境を整えることに力を注いできました。人事部としては、一人でも多くの販売員が、家電製品アドバイザーの資格を取得することを重要なミッションとして捉えています。
ーー会社が家電製品アドバイザーの資格取得を推奨する理由と、資格が社内でどのような位置付けにあるのかを教えてください。
公的資格を所持しているというのは、専門知識を身につけているという裏付けになります。もちろん、専門知識があるだけで良い接客ができる販売員になれるかというと、決してそうではありません。しかし、お客様への商品販売・接客の土台となるのは家電に関わる基礎知識となるため、その知識を得るために資格学習に励むのは大切なことです。
また、販売員が公的資格を所持していることは、弊社の企業理念にもある「より豊かな生活を提案する、進化し続ける“こだわり”の専門店の集合体を追求する」ための専門人財の育成という点でも、非常に重要であると考えております。
ーーMonoxerを導入する前は、どのような学習支援を行っていたのでしょうか。
これまでは、年2回、3月と9月に実施される家電製品アドバイザー試験対策として「社内模試」を行ってきました。試験1ヶ月前に2回、本番に近い問題を解く機会を提供し、テスト終了後にはすぐに解答を表示、解説を読んで試験本番に備えられるという内容でした。
ーー手厚い試みだと思うのですが、取得率向上に向けてどのような課題があったのでしょうか。
模試というのは、あくまで本番の試験を模擬的に体験する機会ですので、学力そのものが身につくわけではありません。ですので、模試より手前の段階から、より手厚い学習支援を行えないかという課題があり、その解決策を模索していました。
【Monoxer選定理由】隙間時間に何度も問題を解くことが試験合格の必勝法と確信
ーーそうした点に課題を感じる中、どのようにしてMonoxerのことを知ったのでしょうか?
「資格取得のための学習支援としてできることには、どんなことがあるだろうか」と、部内で議論をしていたちょうどその日に、他部署の方からMonoxerというアプリを紹介していただきました。
Monoxerの存在を知って「これだ!」と直感し、すぐにモノグサの方とコンタクトを取りました。ちょうど2024年3月の試験が近づいてきた時期で、トライアルをすぐにでも始めさせてもらえることになりました。全てが絶妙なタイミングだったと今振り返っても思います。
ーー実際に触れてみて、どのような印象・魅力を感じましたか?
実際にアプリを触ってみて抱いたのは「昔使っていた単語帳」のような感覚でした。まさにそのような隙間時間に学習を進められるアプリを探していたので、弊社にピッタリだと思いました。
ーーなぜ、隙間時間にできるアプリを探していたのでしょうか。
実は以前、家電製品アドバイザーの試験後に、合格した方と合格できなかった方双方100人を対象としたアンケートをとっていたんです。
そこで、残念ながら不合格だった方へ「不合格の要因は何ですか?」と伺うと、「平日は仕事で疲れていて、休みの日もなかなか時間が取れなかった」という声が非常に多く、「通勤時間や休憩時間などのちょっとした時間に手軽に学習できるツールがほしい」という意見が多数寄せられたのです。
一方で、合格者の方へ「必勝法はありますか?」と伺ったところ、ほとんど全ての方が「問題集で同じ問題をひたすら解く」と回答していました。そこから、「隙間時間で繰り返し問題を解いて学習できる、そんな単語帳のようなアプリはないか」という着想を得ていました。
ーートライアル期間に受験者の方に使っていただき、結果はどうだったのでしょうか。
事前説明会を開き、およそ180名の方々を対象に「トライアルなので、よければ使ってみてください」とアナウンスしたのですが、利用率はそこまで高くありませんでした。しかし、利用者の合格という結果には確かにつながっていることが合格率からも読み取れました。
私としては、この結果に「伸びしろ」を感じました。我々管理者側で、利用率を向上させる施策を考えれば、もっと良い結果が出せる可能性があると思ったのです。
ーーMonoxerの問題作成についてはどのような印象を受けましたか?
問題作成はこのMonoxerによる学習支援を行うにあたり、最も重要な作業であると考えておりました。もちろん大変な部分はありましたが、参考書や問題集を参考にして、慎重に作成をしました。今後はコンテンツ作成をチームで分担して行えば、より負荷は軽くなるのかもしれません。
【取り組み内容】店舗に勤務する330名ほどを対象に約1ヶ月の学習を実施
ーーMonoxerを使った家電製品アドバイザー試験の学習支援の具体的な内容を教えてください。
直近では2025年3月の試験対策として、2月5日にMonoxerで問題配信を行いましたので、学習期間はおおむね1ヶ月程度です。対象者は330人。「AV情報家電」「生活家電」「CSと関連法規」の三科目の問題をおよそ750問用意しました。
ーーMonoxer上でコンテンツにするにあたって、工夫されたことを教えてください。
まず、問題数を増やしたことでしょうか。当初は430問ほどだったのですが、以前の受験後アンケートで「問題数を増やしてほしい」という要望がありました。それと、〇×形式の正誤問題を追加したことですね。こちらも「本番の試験に合わせて〇×形式の問題も作ってほしい」という学習者の声に応えた結果です。
【効果実感】Monoxer利用者の合格率が10%も高い結果に
ーートライアルを含めると3回の試験対策にMonoxerを活用いただいていますが、数値で示される効果としては、どのような結果が得られましたか?
2024年9月の試験対策の時の話にはなりますが、Monoxerを利用した方と利用しなかった方を比較すると、利用者側の合格率が10%も高いという結果が出ました。
学習時間は1回あたり20問、4分程度で終わるようにしています。Monoxer上では大体5時間から6時間ぐらいの総学習時間を目安とし、説明会では「期間内で80回を目標にしてください」と伝えていたのですが、平均学習回数は100回前後にまで伸び、学習時間・利用率の向上を実感できました。
ーー成功した要因はどのようなところにあると思いますか?
まず、各店舗の店長、副店長が所属の販売員の学習状況を確認することができる「管理者用アカウント」を用意したことが要因の一つだと分析しています。これにより、誰が頑張っていて誰が遅れているのかを把握し、学習が進んでいない販売員への声がけも行ってもらうよう設計していたのです。これにより、学習回数は確実に増えました。
また、当初は2ヶ月程度の学習期間をとっていたのですが、この期間を1ヶ月と短くしたことも利用者数増加に効果的に働きました。メンバーは日頃の接客を通じて家電の基礎知識を持っていますが、資格試験となるとどういう問題形式で出るのかなど問題を解いて慣れていく必要が出てきます。ですので、学習者側の心理として「できるだけ短い学習期間で、学習して本番に臨みたい」と考える人が多いと思ったのです。
ーー学習期間を短くした結果、全体として利用率や利用回数が増えるというのは面白いところですね。
はい。学習時間と合否のボーダーラインが知りたくて、受験後のアンケートで合格した方と合格できなかった方の学習時間を調査したのですが、合格者の方が多くなる分岐点は20時間でした。
ただ、仕事もある中で20時間を捻出するのは容易ではありません。そんな中、Monoxerで5時間程度、隙間時間を使って効率的に学習できるというのは、学習者の負担軽減にかなり役立っているのではないかと思います。1日20問と学習に区切りもつけやすく、自動で学習計画が生成される点も学習しやすさにつながっています。
とはいえ、Monoxerの学習と合わせて、必ず参考書を見ながら学習を進める点は説明会でしっかり伝えています。
ーー従来の学習と比較して、学習者の学習への取り組み方の変化や、モチベーションの変化は見られましたか?
Monoxerの導入以前は学習意欲を測ることができていなかったので、そういった点にどの程度変化があったかは分からないというのが正直なところです。しかし、Monoxerによって学習回数や記憶度が可視化できるようになったおかげで、モチベーションや学習意欲も見える化できるようになったのは大きいです。
弊社では販売員が自律的なキャリア形成を行うため、新たにキャリアデザイン制度を設け、将来を見据えたキャリアプランを考え、そのキャリアプランを実現するための行動目標を自ら立ててもらうという取り組みも始めました。この短期的な目標として資格取得を据える方が数多くいて、これがMonoxerでの学習と重なることで非常にモチベーション高く学習に取り組む方が増えてきていると実感しています。
ーーMonoxerの導入で学習支援の負担が軽減されたと感じたことはありますか?
正直なところ、作問が必要な施策だったので、負担軽減という感覚はあまりないです。ただ、一度作ってしまえば、そこまで苦ではないかなと感じています。トライアルの時と比べ、2回目以降は手順にも慣れ、スムーズに問題作成ができるようになりましたから。
ーーモノグサのサポートはいかがでしたか?
モノグサの担当者の方がいなければ、ここまで来られなかったと言っても過言ではないですね。しっかり伴走してくださり、定例ミーティングで学習状況データなど、店舗毎の学習状況やどの問題が答えにくいなどの細かな点まで分析・フィードバックしてくださるので、本当に助かっています。
【現場との連携】 学習データをトリガーにコミュニケーションの活性化を目指す
ーーMonoxerの導入については、いつ、どのように説明しましたか?
トライアル時から一貫して、学習コンテンツの配信前に、Monoxerのコンセプトや使い方、注意事項をオンライン説明会で詳しく伝えてきました。モノグサ側から担当者の方に参加していただき、実際の画面を用いて、初期設定のやり方までわかりやすく伝えてもらえるので、利用の不明点や不安が減り、利用者を増やすことができたと思っています。
ーー管理者用アカウントを配布したことで、店長・副店長からはどのような反応がありましたか?
しっかり見てくださっている方からは「学習回数などが可視化されていてわかりやすい」という声をいただいています。
ーー今後、どのようにMonoxerの管理画面活用を広げていこうとお考えなのでしょうか。
単純に学習意欲を促すだけでなく、学習状況から個々の販売員のモチベーション把握に活用できるのではないかと考えています。学習データをトリガーとして扱い、コミュニケーションのためのツールとして使ってもらえると非常に良いと思います。
例えば、学習が進んでいなければ、「仕事が忙しすぎて気持ちに余裕がない」といった要因が考えられます。ですから、そのデータをコミュニケーションの端緒にしてほしいのです。この辺りの使い方は、今後管理者向けの説明会で伝えていきたいと思います。
Monoxerのリアクションやチャットなどのコミュニケーション機能をどんどん活用していってもらいたいと考えています。
【記憶の有効性】記憶データを活用し、メーカーと連携して効果的に商品知識を定着させる兆しが現れる
ーー学習状況の可視化によって、管理者にはどのようなメリットがあると感じていますか?
まだコンテンツが家電製品アドバイザー資格対策のみの状況ですので、現時点ではお答えが難しいところです。ただ、今後はMonoxerを使って販売員の商品知識定着にも活かしていきたいと計画しています。
このプロジェクトについて打ち合わせしているあるお取引先様からは、「個別の問題の中で記憶度の低いもの、正答率の上がらないもののデータをフィードバックしてもらえないか」というご要望もいただいてます。
ーーそこにはメーカー様のどのようなニーズがあるのでしょうか?
これまでもお取引先様には販売員向けの商品勉強会などを主催していただいてきたのですが、実際それが参加者の記憶に定着したのかという本当のところは、これまで分からなかったのです。ですが、その定量化とそれに基づくフィードバックがあれば、スコアの低い内容を集中的に扱うなどの効率的な研修のブラッシュアップが可能になるのでは、ということでした。
さらに、お取引先様からは、「きちんと学習して記憶度が高い方に対して、製造工場の見学のような特別な研修に参加できるインセンティブを用意して、学習意欲向上につなげることはできないか」という提案もいただきました。商品知識を定着・可視化させることのメリットに対して、お取引先様にも強い期待と可能性を感じてもらえているのだと思います。
ーー講義型研修やeラーニングといった他の学習方法との効果の差はあったと感じますか?
私は以前、お取引先様にご協力いただき、販売員向けの商品勉強会を企画していたのですが、一番の悩みのタネは、知識が身に付いたのかどうかがわからない点と参加人数が限られてしまう点でした。しかし、Monoxerなら記憶度を可視化できますし、より多くの販売員に学習して貰うことができます。
また、学習・研修コンテンツを作る際には、MonoxerはCSVで問題と選択肢を作成して取り込むだけなので、動画やパワポなどと比べて負担が少なく済みます。商品のモデルチェンジのサイクルはとても速いので、商品知識の学習コンテンツは工数が少なく、速やかに作成できることが重要ですので、その点でもMonoxerは非常に有効なのではないかと感じています。
【今後の展望】新入社員教育・売り場の販売員を対象とした商品研修まで利用を拡大
ーー今後、Monoxerをどのように活用していく予定か教えてください。
Monoxerの導入は家電製品アドバイザー試験の合格者・合格率向上を目指してスタートしたものですが、より多くの販売員に利用して欲しいと考えております。
まず、新たにこの4月から始めたのが、新入社員向けのOJTでのMonoxerの活用です。私も経験があるのですが、入社して間もない新入社員にとって、この時期は何も分からない状態で不安に感じる一方で、業務内容を必死に覚えようと学習意欲が高まっている大切な時期であると考えています。ですので、ただ1回の座学で知識習得を学習者任せにするのではなく、Monoxerで問題を解きながら記憶定着を支援していく体制を作り、それにより一日でも早く自信を持って販売・接客できる状態にしていくことに役立てたいと思っています。
加えて、さきほどお話したような売り場の販売員を対象とした商品知識の定着にもMonoxerを活用していきたいと考えています。例えば、エアコンなどは機能だけでなく設置工事など広範な知識が必要です。お客様に納得してご購入いただくには、正確な情報・知識を持った販売員を増やしていくことが大切となりますので、Monoxerが役立ってくれるのではないかと期待しています。
ーーMonoxer活用にたくさんの可能性を見出してくださっているのですね。
私自身、このMonoxerというアプリには大きな可能性を感じております。従来、家電アドバイザーなどの公的資格の保有状況などでしか可視化できなかった知識量を、Monoxerであれば記憶度という形で定量化することができます。
その情報を弊社で導入しているタレントマネジメントシステムと連携させることで、適正な人員配置などにも活用できると考えております。