
中央情報大学校様 活用事例 「毎日5分」で変わる学習意欲:学生が前のめりになるMonoxer活用と、継続させるコミュニケーションの工夫
導入組織について
2018年、群馬県高崎市に開校した中央カレッジグループの専門学校。未来のテクノロジー社会に貢献する人材の育成を使命に掲げ、情報・デザイン・電気通信の分野で専門的な知識と技術を学ぶ教育環境を提供する。 |
活用サマリー
Monoxer活用シーン/科目 | ・学年: 情報システム学科の1年生 |
|---|---|
導入目的 | ・基本情報技術者資格試験の”記憶”を問われる問題の学習に使用 |
課題 | ・計算、思考、記憶と学生の苦手とする分野が分かれる中、授業では記憶に対してのアプローチが難しい |
取り組み | ・必要とする学生だけが取り組めるように、あえて学習計画などを細かく設定しないよう全体で意思統一を行う |
効果 | ・基本情報技術者資格試験の免除試験の合格率が90%に到達 |
今回お話を伺った方

内山直人様
・現在担当されているお仕事:教員として授業や学生指導など、その他、課内のグループリーダーとして職員の管理やマネージメント
・お仕事で大切にされていること:学生第一で授業や指導をする
・趣味:ギター(エレキギター、アコースティックギターどちらも)、キャンプなど
目次[非表示]
- ・【導入目的】「手厚い記憶定着サポート」の裏にある業務負担の軽減と記憶の可視化を求めて
- ・【効果実感】免除試験の合格率は90%オーバー。「早くBookを配信してください」と急かすまでに学習意欲は高まる
- ・【活用方針】演習で見たい「学生の実力」。Monoxerは家庭での復習と記憶が苦手な学生の直前補習に限定
- ・【活用のポイント①】細かな学習計画やノルマを課さず、学習意欲を継続させる「5分でも」の声がけ
- ・【活用のポイント②】毎日のチェック&日々のコミュニケーションの積み重ねで「検定の目的化」を防ぐ。
- ・【活用のポイント③】数値指標は設けない。「必要な学生だけ」に留める教員間の意識統一
- ・【今後の展望】群馬県No.1のさらに先、資格挑戦で得た知識を未来につなげる「実践向け学習」へ
【導入目的】「手厚い記憶定着サポート」の裏にある業務負担の軽減と記憶の可視化を求めて
−まず、御校の掲げる理念、教育方針について教えてください。
ー内山先生
本校を含む中央カレッジグループは「必要とした時、必要な教育が受けられる」「とことん面倒見のよい学校」を基本理念に据え、まずは行動し、失敗から学ぶ「やって、みて、考える」人材育成を実践しています。
その中で、本校が担う領域は「情報・デザイン・電気通信」の分野です。これからのテクノロジー社会に必要な「未来をツクル」人材を育てるため、最先端の知識や技術に触れ、実践的なスキルを養う教育を提供しています。
ー御校の在学生にはどのような特徴がありますか?
ー内山先生
本校の情報システム学科の学生は、とても素直で、どのようなことでも「やってみよう」という姿勢があります。一方で、少し内気なところもあり、自ら手を挙げて人前に立ち、全体を引っ張ろうとするような学生は少人数です。
本校は科目選択制を採用する専門学校ですので、学生は本校で学べる専攻に強い興味を持って入学してくれています。しかし、全体として学力優秀な学生は少数で、基礎学力に課題を抱えているケースも少なくないのが実情です。私達教員は、彼らの可能性を最大限引き出せるよう「夢は大きく、地道な努力」を心がけ、一同精一杯サポートを行っています。

ーMonoxer導入の検討をはじめた経緯を教えてください。
ー内山先生
本科の学生が主体的に学び、学んだことを社会で活かせるようになっていくためにも、まずは国家資格である基本情報技術者資格取得に向けた努力が重要です。
資格取得のためには、計算力・思考力・基礎知識などが必要ですが、このうち、計算力や思考力に関しては、授業を通じて身についている手応えがありました。しかし、意味と紐付け”記憶する”必要のある単語・用語などの知識については、きちんと身についているかどうかの把握も難しく、課題を感じていました。
Monoxerを導入する以前には、紙やPDF、Googleフォームなど媒体を変えながらミニテストを実施してきました。しかし、記憶力・計算力・思考力のどの分野で、どれだけの点数が取れているのかを測ることができず、それぞれの学生が、どの分野でつまずいているのかを把握することができないでいました。
そのため、補習が必要な学生がどの分野を苦手としているかを直接本人にヒアリングしてフォローアップする体制をとり、記憶を苦手とする学生には、補習の中で用語を自分の言葉で説明してもらうなどの個別指導を行っていました。
しかし、本科の在籍学生は100人を超えています。そのようなサポートも5,6人の対象者なら可能ですが、10〜20人になってしまうとパフォーマンスも下がります。テスト作成や補習対応の業務負担も大きく、教員の終業時間も夜九時以降になってしまうようなことも頻繁に起こっていました。
そんな中「学生達が家で簡単に”記憶”の問題に取り組むことができて、教員側も進捗状況を確認できるものはないか」と、ツールを探しはじめて出会ったのがMonoxerです。
ーMonoxer導入の一番の決め手は何だったのでしょうか。
ー内山先生
やはり「記憶度」という記憶を数値化できる指標の存在です。学校では難しい「記憶の見える化」が図れるというのは素晴らしいなと思い、導入してみることを決意しました。
【効果実感】免除試験の合格率は90%オーバー。「早くBookを配信してください」と急かすまでに学習意欲は高まる
-Monoxerを導入して、定量的な指標ではどのような成果がありましたか?
ー内山先生
教員側も使い慣れてきた2年目から、学生達も率先してMonoxerを使ってくれるようになり、成果が上がりはじめました。もともと本校は群馬県内の基本情報技術者資格試験の合格率・合格者数はNo.1でしたが、70%から85%だった同資格の科目免除試験の合格率が90%を超え、2024年度は県内の合格者数の86%を占めるまでになりました。
例年であれば「この子はもしかしたら危ないかもしれない」と思われていたような学生も、Monoxerを活用して努力した結果、合格ラインに届いたケースも多く見られて、本当に良かったです。
ー学生の学習姿勢など、定性的な効果も見られたのでしょうか。
ー内山先生
記憶学習に好意的に取り組んでくれるようになったと思います。今年度は「この分野のBookはないのですか?」「早く新しいBookを配信してください!」と、学生達から多数要望が寄せられて、教員側が困ってしまったぐらいです(笑)。
教員側から「もうそろそろ帰った方がいいんじゃない?」と声をかけるほど、遅くまで教員と学習を続ける学生もいました。

ー導入後も先生方が遅くまで学生の学習をサポートするケースもあるのですか。
ー内山先生
はい。もちろん、早く帰れるのが望ましいと思います。ですが、私達は「学校は、学生達が分からないことを分かるようにするためにある」と考えています。だからこそ、私達は「誰一人取り残さない」という熱意を持ち、学生が望むなら、分かるまで付き合いたいのです。
質問することを「恥ずかしい」と考える学生も、中にはいます。しかし、「分からないままでいることが一番恥ずかしい。キミが分からなければ、おそらくこのクラスの6割はわかっていない。だったら、質問した方がいい。決して恥ずかしいことではない」と、いつも伝えています。
ーそのような先生方の熱意が、学生達の積極的なMonoxer活用につながっているのかもしれませんね。
【活用方針】演習で見たい「学生の実力」。Monoxerは家庭での復習と記憶が苦手な学生の直前補習に限定
−改めて、MonoxerのBook配信の目的、活用内容、活用シーンなどを具体的に教えてください。
ー内山先生
まず、MonoxerのBookは、1年生の基本情報技術者資格試験取得のために配信しています。いくつかの段階に分かれて検定試験を受けることになりますので、その各検定試験の問題集を各1回ずつ、記憶系の知識問題だけを選別してBookにまとめています。各回で問題数が大きく異なることはないので、エントリ数を合わせることはしていません。
Monoxerの活用シーンは基本的に自宅学習であり、授業では扱いません。授業中に問題集を解き、その解いた問題の復習用Bookを授業後に配信、任意で学習を進めるようにしています。前年度までは事前配信をしていたのですが、その方法では「演習問題の結果が本来の実力なのかどうか測りづらい」という課題がありました。
復習用に変更してからは、学生のリアルな実力が見られるようになり、回数を重ねる毎に点数が伸びていく様子も読み取れるようになったので、良い方法にたどり着いたと思っています。
また、検定1週間前などになると「計算は大丈夫なのだけど、記憶系で点数が伸びない」という学生に対しては、補習時間にMonoxerで徹底的に反復学習してもらう場合もあります。
活用ポイントまとめ ・各検定問題集の各回記憶問題だけを選別してBookにまとめる。 ・授業中に実力を測るために、あえて事前配信はせず、授業後にBookを配信。 ・記憶問題が苦手な学生は、直前補習でMonoxerを使って反復学習。 |
【活用のポイント①】細かな学習計画やノルマを課さず、学習意欲を継続させる「5分でも」の声がけ
−Monoxerの配信内容で工夫したのはどのような点でしょうか。
ー内山先生
まず、Book作成にかかる時間を短縮するため、問題文を画像形式で挿入することにしました。また、免除試験や国家試験本番と近い環境にするため、問題形式を四択モードに統一しました。
学習計画機能、学生に提示する学習目安なども、あえて一切設けていません。代わりに「5分でいいから、学習を続けなさい」という声がけは、毎日しています。
ーなぜそのような形にしているのですか?
ー内山先生
学習で大切なことは”継続”です。継続しなければ成果にはつながりません。しかし、「毎日1時間やらなきゃ」と思うと、どうしても気が重くなってしまうものですし、一日たりとも休めないのも気が滅入ってしまいます。ですから、私は「一週間5分ずつでも毎日やったら、ご褒美に一日休んだりしてもOKだよ」と伝えています。
ーそれなら学生も余裕を持って続けられそうですね。
ー内山先生
はい。今年からMonoxerは復習用という位置づけになり、毎回授業後にBookが配信されることになったことで、より学習に取り組みやすくなったのではないかと思っています。一度で100点を取れる人はほとんどいませんが、検定では同じようなパターンの問題が繰り返し出題されますから、間違えた問題を覚えるまで解き続ければ良いですよね。そのためのMonoxerですから。
その習慣の中でなら、新しい単語が出てきたら「あ、コレは知らないから覚えよう」という気が向くのだと思います。
活用ポイントまとめ ・Book作成にかかる時間を短縮するため、問題文を画像形式で挿入する。 ・問題形式は試験本番同様に合わせ、四択式で統一する。 ・学習計画機能は使わず「5分でいい」という声がけに留めて心のゆとりを持たせる。 ・Book配信を毎回授業後に配信し、強制せず、任意で繰り返し練習してもらう。 |
【活用のポイント②】毎日のチェック&日々のコミュニケーションの積み重ねで「検定の目的化」を防ぐ。
−学生のモチベーションを高めるために行っている工夫はありますか?
ー内山先生
正直なところ、Monoxerに限らずモチベーションの維持は難しいですよね。教員の方は皆さん同じように感じられると思うのですが、私も毎年頭を抱えています。
管理画面のチェックは、現場の先生方はほぼ毎日見てくださっているようで、確認後は学生にリアクションを送信してくれています。送信しないと学生達から「先生、なんで見てないんですか!」と怒られますから(笑)。その場合は「ごめん、昨日遅くまで勤務してて見れなかったんだ。今日見るから許して」と、正直に返します。
Monoxer導入後は、学生達の頑張りがよりわかりやすくなったので、教員間でもよく「この子は最近頑張っているね!」などの会話が聞こえてきます。
ー先生方は管理画面のどの指標をよく見ていますか?
ー内山先生
どのぐらい学習しているかを知りたいので、学習回数と記憶度をよく見ていますね。たまに百回以上している子がいたりするので、そうやって努力した学生の取り組みは「昨日100回以上Monoxerしていた子は、得点が20%も上がってたよ。みんなも使った方がいいんじゃない?」と全体に伝えています。
実際、計算が苦手で、覚えるのも得意ではなかったものの、Monoxerを何百回と繰り返して活用し、見事に合格した学生も出ています。

ー御校は、先生同士も学生とのコミュニケーションも大事にされていることが印象的です。もともとそのような文化があるのでしょうか。
ー内山先生
他の学校を存じ上げないのでわかりませんが、気になる子がいたら、教員同士で、良いことでも悪いことでも情報交換していますね。欠席が続いたら「あの子2回連続で休んでるけど大丈夫?」とすぐに声をかけます。教員間のコミュニケーションとしても、週1回簡単なミーティングを開き、学生の様子や状況を共有しあっています。
ーなるほど。学生に伝えていることの中で、特に大事だと思っていることは何でしょうか?
ー内山先生
資格のための受検を繰り返していると「とりあえず受ければいいんでしょ」と、受検自体が目的になってしまい、勉強に身が入らなくなってしまうケースがあります。ですので、そうならないように「まずこの検定に合格すれば、次のステップにチャレンジできる。そのステップに合格できれば、国家試験を受けるときにはすごく楽になるよ」など、未来のイメージができるような声がけをすることが大切だと考えています。
活用ポイントまとめ ・管理画面で記憶度、回数を毎日チェック。リアクションを忘れたら、正直に理由を話す。 ・頑張っている子の情報を全体にも周知する。 ・現在学習を進めている検定試験が、先々どのように役立つかをイメージさせる。 |
【活用のポイント③】数値指標は設けない。「必要な学生だけ」に留める教員間の意識統一
−Monoxerの活用を学校全体に広げていくために工夫していることはありますか?
ー内山先生
これまでは私ともう1名の先生の二人でBook作成を行ってきました。全員に作業をしてもらえるように段階的に移行しはじめています。まだまだこれからですが、本校は情報系の学校で、先生方のITリテラシーが高いので、活用を広げていくことの障壁は全く感じていません。
ーアクティブ率など、Monoxer活用の目標数値を学校全体で共有はしていますか?
ー内山先生
正直なところ、目標数値などは一切設定していません。それは、全員がやる必要はなく、記憶が苦手な学生が使ってくれたらいいという認識だからです。もしアクティブ率を指標に据えれば、「記憶は得意なので、計算に力を入れたい」といった学生に対しても、無理強いしなくてはならなくなります。
そうではなく、どの子に必要なのか、しっかり判断しながら使わせてあげられるようにしたいのです。
もちろん”記憶”に関してはMonoxerは非常に役立つツールですから、そこが苦手分野だという子には「Monoxerさえしていれば大丈夫だよ」と、強く薦めています。
活用ポイントまとめ ・学校全体で「アクティブ率○%以上」などの数値指標は設定しない。 ・強制せず、記憶に苦手意識がある学生の主体的活用を推進する。 |
【今後の展望】群馬県No.1のさらに先、資格挑戦で得た知識を未来につなげる「実践向け学習」へ
−本日は誠にありがとうございました。最後に、御校の今後の展望についてお話ください。
-内山先生
まず、Monoxerを活用して、群馬県の基本情報技術者試験の合格率・合格者数No.1は引き続き維持していきたいと考えています。その上で、現在力を入れているのが「実践向け学習」です。
本校の授業を受け、資格に合格することは大事ですが、より重要なのは「学んだことが仕事に活かせるか」ということです。資格とプログラミングの技術を持っていても、チーム開発した経験がないために現場でどう動いたら良いか分からないというのは、よく耳にする話です。
ですから、本校では企業から案件のご依頼をいただき、学生自身の手で、ご要望通りのシステムを開発、運用・保守まで行うチーム開発演習を経験させてあげたら良いのではないかと考えています。すでに、ソーラーパネルに使用する銅線の盗難防止システムを開発して特許を取得するなど、学生達は着々と成果を出しています。「未来をツクル」経験をたくさん積み、ぜひ社会で活躍できる人材になって羽ばたいて行ってほしいと願っています。




