
ユニタス日本語学校 東京校様 活用事例 多国籍の学生が集う教室でMonoxerが実現する「語彙」と「学習習慣」の定着
🏫 お客様情報 ▼Monoxer活用シーン/科目 |
📈 活用サマリ 導入目的: 目的の実現における課題: 取り組み: 効果: |
▼今回お話を伺った方
松浦真也 先生
授業では、中級Ⅰ後半から中級Ⅱ後半、さらに大学院クラス(研究計画・問題演習)を担当されています。また、授業のカリキュラム作成やスケジュール調整、JLPTの結果集計、そしてMonoxerの活用推進にも幅広く取り組まれています。学生とのコミュニケーションを大切にしながら、指導にあたられているそうです。プライベートでは、趣味のバイクでツーリングに出かけることもあるとのことです。
小川柾洋 先生
授業では、中級Ⅱから上級、大学院クラス(研究計画)、N3・N2(問題演習)を担当され、中級Ⅱクラスの授業カリキュラムやスケジュール管理にも携わっておられます。また、Monoxerではタスク管理やスケジュール作成も担当されています。学生指導においては「わかって当然」とは考えず、学生と共に学びを築いていく姿勢を大切にされています。休日は、趣味のゴルフやゲームでリフレッシュされているそうです。
目次[非表示]
【導入目的】日本で生活する上で基盤となる「日本語の語彙」を主体的に学び続けてもらうために
ーはじめに、御校の経営方針や特徴についてお聞かせください。
ー小川先生
当校の方針としては「相互の価値観を尊重し、信頼関係を基本に生徒と学校が共に成長していくことを目指す」ことを掲げており、国際的な人材を育てるために教職員が力を合わせ、生徒を支援しています。
東京校の在校生は500名程度で、アジア圏を中心に様々な国の学生が在籍しています。専門学校や大学などへの進学を希望する学生が多い一方で、日本での就職を目指す学生も増えつつあります。
ー松浦先生
具体的な国籍としては、中国の方が多く最近はベトナムの方も増えていて、就職を目的とする場合には、インド、フィリピン、インドネシア、特にミャンマーの方も増加傾向にありますね、学びに対する姿勢については様々で、学習習慣がしっかり身に付いていて講師側が何も言わなくても取り組める学生もいれば、手取り足取りの指導が必要な学生もいるといった状況です。
ーMonoxerを導入された背景や目的について教えてください。
ー小川先生
日本語の上達・ブラッシュアップをしながらJLPTの合格、専門学校への進学や就職を目指す「日本語強化コース」と、大学や大学院の試験対策および入学後に求められる能力を身に付ける「進学コース」の2コースがあります。
どちらのコースも中級レベル以上になると語彙の量が一気に増えるため、小テストを実施しながら毎日10単語程度の習得を目指していたのですが、「小テストのための勉強」になってしまい、継続的な学習や語彙の定着には至っていませんでした。
こうした状況を改善するための手段を探すなかで出会ったのがMonoxerです。テストのための勉強ではなく、自主的かつ習慣的に学ぶ姿勢を身につけてもらうことを目的として導入を決めました。
ー松浦先生
語彙は、聞き取りや読解、会話など、何をするにおいても基礎となるため、非常に重視しています。初級で学ぶ言葉だけでも生活自体はできますが、やはり日本で活動していく上では語彙・表現の幅を増やしていくことが不可欠だと考えています。
授業の様子:コの字型のレイアウトが特徴で、講師および学生同士の距離が近づくことを重視
【効果実感】非漢字圏の学生の取り組み姿勢が改善され、テストの点数も向上|講師の業務効率化にも寄与
ーMonoxer導入によって得られた効果についてお教えください。
ー松浦先生
非漢字圏の学生が多いN3レベル(日本語能力試験で定義される5段階の真ん中)のクラスでは、Monoxerを利用しているクラスと、していないクラスでは、テストの平均点に約8〜10点程の差が表れ始めています。
ー小川先生
テストの出題形式はJLPT(日本語能力試験)に似せた選択式であり、Monoxerの問題も同様の形式にしています。表れ始めた成果は、各学生がMonoxerを用いて同形式の問題に繰り返して取り組めたからこそ得られたものではないでしょうか。非常に興味深い傾向ですので、今後はN2やN1のクラスでも効果を検証していければと考えています。
ー学生の学習姿勢に変化はありましたか。
ー松浦先生
運用として授業開始時に「今日のタスク」に取り組む時間を5分程設けているので、全くやらない学生はいなくなりましたね。
ー小川先生
小テストを行っていた頃は、特に漢字圏以外の学生はどうしても点数が伸びづらく、勉強に対するモチベーションも下がりがちでした。一方でMonoxerは、ゲーム感覚で気軽に取り組めるため、モチベーション維持にも有効だと感じています。
また、取り組み姿勢を客観的に把握できるようになったため、成績評価に反映するようにしました。評価のウェイトは6割程度です。これによって、テストは上手くいかなかったけど一生懸命取り組んだ学生を評価できるようになったことも、モチベーションの維持・向上につながっています。
ー講師の皆様にとってはいかがでしょうか。
ー小川先生
業務効率化や管理工数の削減を実感できていますね。これまでは小テストをペーパーで作成・実施して採点まで行っていましたが、Monoxerであれば回答して直ぐに正誤判定・フィードバックまで行えます。
問題作成もツール内で範囲を指定するだけなので、Excelなどで作るよりも楽です。作成時間にして数十分は短縮できたので助かっています。
ー松浦先生
学生が「いつ、どのくらい勉強しているのか」が可視化されて、管理や指導をしやすくなったと感じています。これまでは、学校外での学習状況を把握するのは困難でしたが、Monoxerの管理画面を観れば「どのタスクを何回行ったか」「どの時間帯に行ったか」など講師として知りたい情報を一目で把握できます。意外な学生が授業後や夜に積極的に学習している履歴を確認できて、嬉しい驚きを得られたこともありました。
【活用方針】授業冒頭5分や自宅学習に活用、取り組み姿勢を評価に反映。多国籍ゆえの難しさも?
ーMonoxerの活用および運用状況についてお聞かせください。
ー松浦先生
語彙の定着を目的に、ジャパンタイムズの日本語能力試験対策コンテンツを全員に配信し、授業の冒頭5分で必ず取り組んでもらうようにしています。その際、タスクの記憶度100%にすることを目標としていますが、できない場合には自宅学習で取り組んでもらいます。
ー小川先生
やはり、5分間で記憶度100%にできる学生もいれば、そうでない学生もいます。後者をフォローするための手段として、自宅学習で残りのタスクに取り組めばきちんと成績評価に反映するようにしています。これは、授業内で取り組む5分に必要以上のプレッシャーを感じさせないための工夫でもあるんです。
また、タスクの作成は私を含めた3人ですが、タスク配信は他の講師も実施しており、合計6人程で運用しています。
ー学生の国籍が多様な日本語学校ならではの難しさ等はありますか。
ー小川先生
Monoxerを運用する上で、文化的な違いによる苦労はあまり感じていません。ただし、漢字圏の出身か否かによる差はどうしても影響を受けやすい状況です。例えば、国籍に関わらず全員に同じ範囲のタスクを配信し、同じ小テストを実施しているのですが、漢字を理解できる学生は初めからある程度内容を把握できるため、その他の学生と点数に差が出やすくなってしまいます。
テストではその点を工夫し、ディクテーションを取り入れることで、単に漢字を見て意味を読み取るだけでは点数が取れない形式を採用しています。しかし、この方法でも課題は残ります。漢字圏出身の学生があまり勉強せずに点数を取れてしまう一方で、それ以外の学生はどれだけ努力しても追いつけず、モチベーションの低下につながる可能性があります。
こうしたギャップをどう埋めるかは講師側の重要な課題です。その具体的な対策の一つが、「Monoxerを用いた取り組み姿勢の評価」です。テスト結果だけに偏らないよう、取り組み姿勢の評価を全体の6割程度に設定しています。これにより、学習プロセスをより公平に評価できるようにしています。
また、学生の国籍が多様なので、それに合わせてカリキュラムやコンテンツを展開しなければならないのも大変なところですね。例えばMonoxerにおいても、どんなタスクで何ヶ国語分の翻訳を作成するのかなど検討すべきポイントが多くなりがちです。
とりわけ当初は、中国語、ベトナム語、英語など各言語毎に一連のタスクをすべてcsvから作成していましたが、負担が大きいため運用を変えました。現在はモノグサマーケットで出版社のコンテンツを購入しています。各クラスにどの国籍の学生が在籍しているかを把握しておき、必要となる言語のタスクを配信するのみという形にしており、そこまで苦労せずに済んでいます。
💡 活用ポイントのまとめ |
【活用ポイント】 講師への浸透はマニュアルと個別対応、学生へのフォローは直接コミュニケーション
ー講師に向けたMonoxerの浸透をどのように進めたかを教えてください。
ー松浦先生
まずは講師を集めて学生が行うタスクを体験してもらった上で、自作の導入マニュアルに沿ってWEB管理画面の使い方などを伝えました。ただ、実際に使うと分からない点が個別に出てくるため、「分からないことがあれば聞いてください」として、ケースバイケースで対応することにしたんです。
そうすると導入して間もない頃は、「本日の進捗はどうやって見るの?」「どのタスクを選択すれば良いか分からない」など、様々な問い合わせをもらいました。ただ、導入して数か月が経過した今では、個別の問い合わせをもらうことはほとんど無く、ちょっとした疑問などは日常的なやり取りのなかで十分解消できています。
また、デジタルへの移行に関しては、慣れない方には心理的なハードルはあったようですが、学校としての方針や想いを汲んで取り組んでもらえました。
ー小川先生
少なくともMonoxer導入に対して、明らかな拒否感を示した講師はいませんでしたね。どちらかというと、これまでの紙がアプリに替わることに対する心配や困惑があったように思います。特に機器に慣れていない講師の場合ですと「本当に私に使えるのかな」と少し戸惑うような様子が見て取れました。
ー学生のMonoxerへの取り組みはどのようにフォローしているのでしょうか。
ー小川先生
WEB管理画面をみれば各学生の取り組み具合が一目で分かるので、進捗が芳しくない学生については各授業で会った際に直接フォローしている講師が多いですね。特に担任の先生は学生愛が強い方ばかりなので、できていない学生がいれば、私たち運営側が何も言わなくとも積極的にフォローを行ってくれています。
また、そもそも取り組むためのモチベーションを低下させないように、1日あたりのエントリ数は14〜15程度にして適度な回数で記憶度が100%になるよう調整しています。
💡 活用ポイントのまとめ ✓初期は自作の導入マニュアルを用意し、WEB管理画面の使い方を教える ✓質問は都度回答し、心理的なハードルがある講師のサポートを実施 ✓WEB管理画面を確認し、進捗が遅れている学生には直接声掛けを実施 |
【今後の展望】「学習習慣の定着」と「漢字に対する抵抗感の解消」
ー最後に今後の展望についてお聞かせください。
ー松浦先生
Monoxerを導入した目的である「各学生の主体的な学習習慣の定着」に、引き続き取り組みます。既に実現できた学生もいる一方で、テストのための学習に留まったままの学生もいるので、どう意識を変えていけるかに注力したいですね。また、上級クラスでは現在MonoxerでN3やN2の語彙を積み上げてきた学生たちが学習を始めています。
その中で感じるのは、スマホを握りしめ語彙を調べながらコミュニケーションをする学生がほとんど見られなくなってきたことです。身に付けた語彙を使ってスムーズにコミュニケーションできる喜びが、語彙学習のモチベーションになっているように感じます。
Monoxerで学習している学生たちが、私たちに新しい気づきの体験をさせてくれる…このような変化を導入前は予想もしていなかったことですので、嬉しさとともに、卒業まであといくつ、学生たちと新しい経験ができるのか、楽しみができました。
ー小川先生
N3レベルのクラスを7〜8年担当してきましたが、特に非漢字圏の学生は「漢字が嫌い・苦手」という意識は毎年一定以上の割合で存在しているように感じています。そこで今後は、「いかに漢字への抵抗感をなくすか」という課題に挑戦したいです。具体的には、Monoxerの「漢字の書き取り」などを取り入れて、漢字と向き合える新たな機会を創出するといった構想を持っています。