業務未経験者のひとり立ち期間を2ヶ月短縮 - 全国展開に対応したパートナー育成の成功事例

アートセッティングデリバリー株式会社は、全国に広がる2マン輸配送ネットワークを基盤に、単身者向け引越サービスと家具家電等の大型荷物の配送サービスを提供する物流企業です。業界全体が直面している人手不足問題の課題解決に対応しながら、持続可能な体制で全国へ高品質なサービスを届けることを目指し、協力会社と共に成長しながら輸送網を拡大してきました。今回は、同社がパートナー企業の集配担当者向け教育にMonoxerを導入した背景から、トライアルを経て本導入に至るまでの取り組みと、その成果について伺いました。(本記事は2025年8月22日のインタビューを基に構成しています)


お客様情報
⚫︎企業名:アートセッティングデリバリー株式会社
⚫︎ 業種:物流
⚫︎ 従業員規模:1000~4999人
⚫︎ 取材ご対応者様:経営戦略部 チーフマネージャー 経済産業大臣登録 中小企業診断士 大和亮介 様

Monoxer活用シーン
⚫︎推進部署:経営戦略部門
⚫︎学習者属性:パートナー企業の集配担当者
⚫︎学習者数:100名
⚫︎活用シーン:主力サービス仕様・業務手順に関するパートナー教育
⚫︎Monoxer導入年度:2024年


導入事例サマリー

導入背景(目的・課題)

⚫︎ 全国に高品質なサービスを提供するため、新たな集配パートナーの教育体制を整える必要があった。

⚫︎ 業務未経験者の方も多い中、短期間で業務知識を定着させる必要があった。
⚫︎ 一般的なeラーニング等では受講履歴しか追えず、「本当に知識が定着しているのか」が分からないという懸念を抱えていた。そこで、記憶定着に特化し、可視化も可能なMonoxerに魅力を感じ、導入を決めた。

取り組み

⚫︎ 100名のパートナー企業の集配担当者を対象に、主力サービスの業務規格やオペレーション習得のため、トライアルを実施。

⚫︎ Monoxer活用者と非活用者に分けて事前と事後の理解度テストを実施し、教育効果を検証。
⚫︎ 本導入では、拠点ごとに段階的に展開。現場責任者や自社社員を巻き込み、効果的な育成体制を構築。

効果

⚫︎ トライアルでは、Monoxerを活用したグループが非活用者グループを平均10点も上回る結果となる。(50点満点)
⚫︎ 本導入後、ひとり立ちまでの期間を2か月も短縮。教育コストの低減と育成の標準化を実現。
⚫︎ 可視化された学習履歴や記憶度の見える化が営業活動の武器になり、取引先からも高評価を得ている。

【導入背景】全国展開を支える新たな集配パートナーへの教育が急務に

ーーまずは御社の事業概要と、大和様の役割について教えてください。

当社は「2マン輸配送ネットワーク」という仕組みを強みとしています。21組でお客様宅に伺い、比較的大きな家財や家電を運ぶだけでなく、設置や組み立てまで対応しています。単なる輸送業ではなく、家の中まで入り、サービスを完結していることが特徴です。

私は、所属する経営戦略部で、プロジェクト推進を中心に担当しています。具体的には、全国37拠点の地域のパートナー企業様と連携し、新しい業務を受託いただきながら体制を整えています。その意味では、全国ネットワークを構築していくことに責任を持っています。

ーーMonoxer導入を検討された当時、どのような課題があったのでしょうか。

昨今、業界全体が人手不足問題に直面しています。そのような中、弊社は持続可能な体制で全国に高品質なサービスを提供することを目指しており、その一環として、戦略的に新たな集配パートナー様に弊社サービスの業務を受託いただくことにしました。

そこでの最も重要な課題は、サービス品質をどのように維持・向上させるかという点でした。自社社員であれば育成の過程で知識の習得度合いを把握できますが、外部パートナーとなると「どこまで理解しているのか」を把握しづらいのが実情です。そのため、一定以上の品質を保証できる仕組みが必要でした。

もうひとつは、教育コストの問題です。業務未経験者の方も多い中、短期間で業務知識を定着させる必要がありました。また、パートナー企業の管理者の教育負担を減らす仕組みも欠かせませんでした。

ーー数あるツールの中で、Monoxerを選ばれた理由を教えてください。

従来のeラーニングシステムでは、受講履歴は残るものの、学習内容が本当に理解・定着しているのかまでは把握できないという懸念がありました。その点、Monoxerは「記憶の定着」までを考えた設計になっているので、まずはそこに惹かれました。学習内容がしっかり定着するだけでなく、何をどこまで記憶できたのかを可視化できる点も大きな魅力です。

また、スマートフォンやタブレットで完結できることも魅力的でした。各企業でシステム環境が異なる中でも、スマートフォンにアプリを入れるだけで容易に学習できることは、パートナー企業に教育を届ける上で大きな利点でした。

ーースムーズに学習環境は整えられましたか。

短期間で新しい教育体制を整えていく必要がある中、研修資料をもとに約350問の教材を作成し、わずか2ヶ月で学習提供の準備を行うことができました。

学習開始時には、モノグサの担当者の方にZoomで活用研修を実施していただき、その場で対象者にアプリをダウンロードしてもらいました。即座に学習コンテンツを配信できたため、非常にスムーズで導入しやすいと実感しました。

【トライアルの取り組み】Monoxer活用者と非活用者で教育効果の違いを検証

ーー202410月から11月にかけてのトライアル期間は、どのように活用されましたか。

15100名のパートナー企業の集配担当者を対象に、「家財おまかせ便」「わたしの引越」といった主力サービスの業務規格やオペレーション習得に活用しました。

Monoxerの効果を検証するため、Monoxerを利用するグループと、利用しない従来通りのグループに分けて、A/Bテストを取り入れました。

まず座学で学んでもらい、その後Monoxer活用者には Monoxerの学習アカウントを配布しました。約350問のコンテンツを用意し、1か月ほどMonoxerで学習したうえで、理解度テストを実施しました。

【トライアルの効果実感】数値と現場の声で示された学習効果

ーートライアルで実施したA/Bテストの結果はいかがでしたか。

やはりMonoxer活用者の方が、より良い結果を残しています。

具体的には、Monoxer活用者と非活用者の2グループに分けて、両グループに事前・事後のテストを実施しました。事前テストは25点満点、事後テストは同内容に加えて新たに25問を追加した50点満点です。比較の結果、活用者グループは事後テストの平均点が非活用者グループより10点高いという成果が得られました。

さらに、事後テストに含まれる事前テストと同一内容の25問を比較したところ、非活用者グループの点数に変化はありませんでしたが、活用者グループは平均で5点向上していました。

ーートライアルでMonoxerを活用された方の変化はいかがでしたか?

業務に対する「自信」につながった様子がありました。業界未経験者の方は、大きな荷物を運んだり付随サービスで洗濯機を取り付けたりなど、新しい業務をきちんとこなせるのか不安を抱えがちです。

そこで、Monoxerで学習して理解度テストに合格すれば、企業側から「十分に習得できています」と認めてあげられます。これが本人の「自信」につながります。実際にアンケートでも「業務に活かせそうだ」と答えた方が多く、心理的な安心感の醸成につながったと考えています。

また現場責任者からは「Monoxer活用者のほうが、業務の飲み込みが早い」、さらに管理者からは「管理画面で活用状況や未定着分野を把握しやすくて助かる」といったコメントもいただきました。

【本導入時の取り組み】管理者の巻き込みと伴走支援が成果の鍵となる

ーー20252月から本導入が始まりました。実際にどのように運用されていますか。

一度に全拠点で導入を進めるのではなく、拠点ごとに段階的に広げていきました。最初に研修を行い、その後2か月ほどMonoxerでの学習を進めてもらってから、業務に本格的に移管していく流れになります。

運用にあたっては、やはり管理者を巻き込むことが重要でした。学習の実施率は現場責任者の理解度や関わり方によって大きく変わります。そこで定例会議でMonoxerの学習データを共有し、学習度と現場パフォーマンスの相関を説明するようにしました。グラフで記憶度が見えると管理者も納得しやすくなります。

ーー学習者はどのようなタイミングでMonoxerを利用していましたか。

13分程度のスキマ時間でも十分に学べるので、業務の合間や事務所へ戻ったタイミングなど、1日の区切りのなかで、学習計画に沿って学習を進めていました。短時間でも繰り返すことでしっかり定着するのは、Monoxerならではだと思います。

ーー拠点によって、運用の成否に差はありましたか。

やはり管理者の納得度をはじめ、拠点全体の受け入れ具合で活用度に差が出たように思います。

特に運用が上手くいった事例は、当社の社員が伴走したケースです。一定期間OJTでドライバーと同乗して、一緒に業務を進める中で「学習も進めよう」と声をかけてくれました。こうした積極的なフォローがあると学習もスムーズに進みますね。

【本導入時の効果実感】早期即戦力化、教育コストの低減、育成の標準化、営業活動の強化にも繋がる

ーーOJTMonoxerを組み合わせることで、どのような効果がありましたか。

ひとり立ちまでの期間が短縮されたことが大きな成果だと考えています。以前は現場で仕事を覚えるしかありませんでしたが、事前にMonoxerで知識を定着させている人は、より早く戦力として活躍できるようになりました。およそ2ヶ月ほどの差が出ています。結果として、指導側の負担軽減など教育コストの低減にもつながっています。

ーー学習者の方から、Monoxerの利用についてどのような反応がありましたか。

「体系的に学べるのがありがたい」という声をよく聞きます。これまでは教育内容が指導者によってばらつき、属人化してしまうことで抜け漏れが生じるケースもありました。それをMonoxerで補えるので、育成の標準化や安定化を図ることができました。

ーーお取引先様(荷主)からは、どのような評価をいただいていますか。

とても好評です。計画通りに作業リーダーを育成できており、実際にお客様からお褒めの言葉をいただく件数も増えています。パートナー企業が増える中、教育体制を問われることもありますが、「研修をやっているだけではなく、Monoxerで体系的な教育の提供をしている」と説明できるのは大きな強みになっています。さらに、Monoxerはデータを活用して客観的な学習状況の提示までできるため、このような手厚い教育が荷主様の「安心材料」となっていると実感しています。そのため、Monoxerが弊社の営業活動においても役立っていると実感しています。

【今後の展望】教育を通じて顧客満足度を高める取り組みを拡大

ーー最後に、今後の展望を教えてください。

例えば、学習状況と顧客満足度を掛け合わせて「学習の定着度が高い人ほど、顧客満足度が高い」といった結果が見えてくれば、社内教育の質やサービス品質の更なる向上につなげられると考えています。また、現在はパートナー向け教育が中心ですが、今後は社内にも横展開していければと考えています。

全国どこでも高い品質で同じサービスを提供するために教育は不可欠であり、Monoxerはその基盤になってくれると考えています。お客様から「やっぱりアートセッティングデリバリーに任せて良かった」「他の人にもお勧めできる」といった評価を沢山いただけるよう、学習環境をさらに整えていきたいと考えています。

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