2023/6/27

ChatGPTの台頭により、数学の教育関係者が課題視する「AIと授業の共存」 ❝先生だからこそ❞出来ることとは

モノグサ、東京、大阪、福岡にて教育関係者向けセミナー「数学教育の未来を考える」を開催し、計228名が参加

記憶定着のための学習プラットフォーム「Monoxer(モノグサ)」を提供するモノグサ株式会社(東京都千代田区、代表取締役:竹内孝太朗、畔柳圭佑、以下「モノグサ」)は、東京、大阪、福岡にて教育関係者向けセミナー「数学教育の未来を考える」を開催し、計228名の教育関係者が参加しました。また、セミナー内で実施したアンケートの結果、約半数の42.9%が「AIをはじめとしたテクノロジーと授業の共存」を課題視していることが明らかになりました。

教育関係者向けセミナー「数学教育の未来を考える」について

教育関係者向けセミナー「数学教育の未来を考える」は、数学教材『Focus Gold』の著者であり、名城大学教職センター教授・竹内英人先生をはじめ、数学の専門家に登壇いただきました。モノグサからは、代表取締役CEO竹内 孝太朗が「記憶定着は数学においても有効か」をテーマに講演いたしました。

「数学教育の未来を考える」は、2023年3月25日に東京、5月27日に大阪、6月10日に福岡で開催されました。計228名の教育関係者が参加され、効果的な指導法、オンライン指導、AI時代の最先端コンテンツについて、本会終了後の懇親会も含めて、様々な視点から今後の数学教育に関する知見を学び合う会となりました。

 

数学の教育関係者124名の約半数が「AIと授業の共存」を課題視

セミナー参加者のうち、124名を対象に「数学の指導に関して悩んでいること」についてアンケート調査を実施しました。その結果、約半数の49.2%が「AIをはじめとしたテクノロジーと授業の共存」という回答となりました。

 

数学教育における❝先生だからこそ❞出来ることを考える

名城大学教職センター教授・竹内英人先生は「教師 vs AI〜2○○○年、ついにAIが教師を超える?~」をテーマに、モノグサ代表取締役CEOの竹内は「記憶定着は数学においても有効か」をテーマに講演し、会の中で、「AIをはじめとしたテクノロジーと授業の共存」に関しても持論を語りました。

 

名城大学教職センター教授 竹内英人先生 講演「教師 vs AI ~2○○○年、ついにAIが教師を超える?」

竹内 英人 先生(名城大学教職センター 教授)
元愛知県公立高校教諭。 現在は名城大学教職センター教授として、未来の中高の数学の教員を養成している。啓林館の中学、高等学校の数学教科書を著者し、Focus Gold代表執筆者。 その他の著書も多数執筆している。近年は幼児、児童の算数、論理教育にも力を入れている。親子算数教室、STEAM算数教室講師。

 

教師だからこそできる『学びに向かう姿勢』を身に着けること
ChatGPTの登場によって教育は大きく変わるのではないかと思います。私たち教師は今現在はAIに出来ないことができるという自負がありますが、来年の今頃はわかりません。しかし、私たちが職を失うことはないでしょう。

まず、学力の三要素のうち「知識・技能」はAIの方が強みがあります。「思考力・表現力・判断力」は、現在は私たち教師のほうが優位だと思いますが、近い将来はAIの方が優位になるかもしれません。

しかし、私たち教師は、「学びに向かう姿勢」を生徒に身につけさせることができます。これは、AIには難しいことだと思います。熱量をもって、数学の面白さを伝えることで生徒から「数学は面白い!」という言葉を引き出せるのは人間だけだと思います。

数学の教師は数学が大好きな方が多いと思うので、問題が解けなくても、誰かに褒められなくても数学の勉強が楽しいのです。その楽しさは自分の頭で考えることから生まれます。正解や不正解ではなく、考えることに数学の一番の価値があります。いかにして自分の頭で考えられる生徒を育てられるか。いかにして生徒を学びへの自立に誘うことができるか。AIにできなくて、私たち教員ができることは、この2つを常に考えながら授業をすることだと思います。

現状のChatGPTの最新モデルである「GPT-4」は私たち教師のように「前に教えたよね?ちゃんと聞いてなかったの?」と責めるような口調で質問はしません。また、生徒に間違えを指摘されると「申し訳ありません。私の誤りです」と謙虚に認めます。さらに「その通りです。素晴らしいですね」と生徒を褒めます。これなら生徒は安心できます。私は、この会話を読んで焦りを感じました。私たち教師は人間でなければできないことを今まで以上に真剣に考えなければならない時期に来ているのです。

重要なのは授業でこのストーリーをわかりやすく教えられるかどうかです。そのためには徹底した教材研究と高度なプレゼンテーション力が教師には求められます。共通テストは生徒をテストしているだけでなく、私たち教師もテストしているとお考えください。

数学の教師が目標とするべきなのは、数学によって人間性を育てることです。そのためには授業力をどこまでも向上させることが必要です。「GPT‐4」の誕生は、教師にとって脅威である反面、チャンスでもあります。なぜなら、「ChatGPT」をはじめとしたAIに勝てるように、私たちは授業力を高めようとするからです。

 

モノグサCEO 竹内孝太朗 講演「記憶定着は数学においても有効か」

竹内 孝太朗(モノグサ株式会社 代表取締役CEO)
名古屋大学経済学部卒。
2010年に株式会社リクルートに入社。
2013年から「スタディサプリ」にて高校向けサービスの立ち上げに従事。全国の高校1000校を行脚し、学習到達度測定テスト、オンラインコーチングサービスの開発を行う。
2016年に畔柳(CTO)とモノグサ株式会社を共同創業。
プライベートでは3児の父であり、休日は子どもと一緒にMonoxerで勉強している。

人間だからこそできる『共感』と『悩める場作り』
学習の過程は「理解・定着・活用」のプロセスで進みます。「理解」は「分かること」です。分数でいえば計算手順に納得することです。「定着」は「できること」で、分数でいえば計算を素早く行うことです、「活用」は「使えること」です。同じく分数でいえば、初見の問題で分数を使おうと思いつくことです。生徒が目指すゴールはこの「活用」を成功させることです。

弊社は、「定着」こそテクノロジ―が担うべき領域だと思っており、Monoxerを提供しています。数学においても他の科目と同様に記憶定着も有効性は非常に高いと考えております。数学においては、解法を憶えていくことが、英語において英単語を憶えていくことと同じような位置づけになるのではないかと考えています。

「理解」「活用」の促進は、これまで先生にしかできないことでしたが、「GPT‐4」の登場でAIが優勢になった部分も感じています。

「理解」については、「正しさ」と「わかりやすさ」と「面白さ」の軸で考えたいと思います。「正しさ」は瞬時に膨大な情報量にアクセスできる点から、人間よりもAIの方が優位なのではないかと思っています。

その一方、「わかりやすさ」と「面白さ」は、人間の専売特許だと考えています。相手にとって理解できる物事に置き換えて説明すると、十分に理解してもらえるからです。共感には個人差があるため、目の前の生徒をどうすれば笑わせられるかはAIには判断できないはずだからです。

最後に「活用」は、生徒が多くの試行錯誤を重ねられることがポイントです。このためには、発問が重要だと思います。発問は質問と違って、答えが1つに決まっていない、思考・推論を誘発する問いかけです。残念ながら、最短距離で発問をすることは「GPT‐4」のようなAIが得意なことです。

しかし、試行錯誤のために大切な「悩める場づくり」は、人間にしかできません。人間同士であるからこそ、本気で悩むことができると思います。


生徒が主体的になるには、成功体験が重要だと思っています。それは悩んだ結果、正解に辿り着けたことから生まれます。生徒が悩む環境を創造した上で発問できれば、思考力も育成されてくるはずです。また、友人との協働や称賛、叱咤激励が生徒のモチベーションを高めます。AIができることはますます増えてきますが、こうした場の設定に関しては、まだまだ人間に分があると私は思っています。

 

Monoxerと数学教材『Focus Gold』が提携してコンテンツ提供を開始

モノグサは、Monoxer導入教室向けに新たに啓林館ブランドの数学参考書、『Focus Gold』シリーズの販売を2023年4月より開始しました。

『Focus Gold』著者の名城大学教職センター教授・竹内英人先生は、数学と記憶定着について下記のようにコメントしています。

「数学における記憶定着はHowとWhyの2つの側面が重要です。Howというのはいわゆる、公式、定理、基本問題の定石です。これがすべての問題を解く上での土台となります。一方で、これらのHowを意味も考えずに丸暗記すると直ぐに忘れてしまいます。また、その他の応用問題に活用することができません。そこで重要になるのがWhyです。なぜ、その公式が成り立つのか?なぜそのような考え方を使うのか?それぞれの公式や定石を使う意味をきちんと理解することで、知識が体系的に繋がり真の定着となっていきます。Monoxerを通した数学の記憶定着では、このHowとWhyの2つの側面に注目し、単なる丸暗記から理解暗記へと導きます。」

記憶定着が難しいとされている数学領域をMonoxerに搭載することによって、生徒のレベルに合わせた形で定期試験対策から、共通テスト、一般入試に至るまで全ての高校生の数学科目の対策として活用いただけます。

 

「モノグサ株式会社」について

プレスリリースモノグサ株式会社は、記憶定着のための学習プラットフォーム「Monoxer」の開発・提供をしております。

Monoxerは、先生が憶えて欲しい内容を登録するだけで、その内容を定着させるために必要な問題が自動で作成されます。

ユーザーは英単語、漢字、歴史、数式など、記憶したい知識をインポートすると、Monoxerが記憶定着のために最適な問題を生成します。また、Monoxerはリアルタイムで一人ひとりの学習内容を解析し、知識の定着度合いを可視化。その情報をもとに、出題する問題の難易度・頻度を一人ひとりに合わせて自動で最適化します。

児童・生徒は作成された問題をスマホやタブレットのアプリで学習していきますが、一人ひとりの習熟度・忘却度に応じて、リアルタイムで問題の出題頻度や難易度が調整されるため、一人ひとりのレベルにあった学習が実現できます。

遠隔でも児童・生徒の学習状況・定着度が分かるため、通学・通塾が困難な状況でも、きめ細やかな指導を行うことが可能です。

上記の通り、ユーザーはオリジナル教材を簡単に作成できることに加え、英検対策の教材をはじめMonoxer上で学習できる出版社のデジタル教材を購入して利用することも可能です。

【モノグサ株式会社】
本社 : 〒102-0072 千代田区飯田橋3-8-5 住友不動産飯田橋駅前ビル7階
設立 : 2016年8月10日
代表者 : 代表取締役CEO 竹内孝太朗、代表取締役CTO 畔柳圭佑
事業内容 : 記憶のプラットフォーム 「Monoxer」 の開発と運営
U R L : https://corp.monoxer.com/

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