
【6ステップ】研修効果測定の方法|企業成長のポイントも解説
「社員教育の一環として研修を実施しているが、どれほどの効果があったのかを測定する方法がわからない」
「研修効果測定の結果が明確にわかれば、研修をより良い内容にできるのに…」
このような悩みや課題を抱える企業は少なくありません。
研修は、”実施すればかならず効果を得られる”ものではありません。研修の効果を最大化するには、研修のを”やりっぱなし”にするのではなく、研修の効果を正しく測定し、その結果をもとに検証と改善を繰り返していくことが大切です。
そこでおすすめしたいのが、下記の手法です。
【研修効果を高める6つのステップ】
それぞれの段階に応じた手法で研修の効果を測定し、その結果を受けて研修の内容や形態を改善したり、受講者へのフォローアップをしたりすれば、研修の効果を最大化し、企業としての成長を図れるでしょう。
では、各ステップでは具体的にどのようなことをして、研修の効果を測定していくのでしょうか。また、測定結果を受け、人材教育を担当する者としてどのように行動していけばいいのでしょうか。
この記事では、下記のようなポイントについてわかりやすく、かつ具体的にご説明します。
この記事を読んでわかること |
・ 研修効果測定の6ステップ(全体の流れ) |
研修効果の測定方法にお悩みの方や、研修の成果をあまり感じられずお悩みの方は、ぜひ最後までお読みください。
目次[非表示]
1.研修効果測定を成功させる6つのステップ
研修の効果を測定することは、企業の成長にとって重要な意味があります。
研修の効果を正しく測定できれば、目的の達成度を確認したり、改善点を抽出したりできるからです。
そこでご提案したいのが、下記手順による効果測定です。
※[カークパトリックモデル]を基に作成。
この手法では、研修前に予め、[評価基準]と[評価項目]を決定しておきます。
研修後は[研修後アンケート][理解度テスト][行動量調査・他者評価][ROI分析]を実施し、研修の効果を測定します。
そして、研修効果を適切に測定できると下記のようなポイントが明らかになりますので、それらの情報をもとに[全体最適化]を図りましょう。
研修の効果を測定することで明確になるポイント |
・ 研修目的をどのくらい達成できたか |
ステップ1|評価項目・評価基準を決める
研修効果測定に際し、まずは評価項目と評価基準を決めましょう。
ここで大切なのは、下記2つのポイントです。
評価項目・評価基準を決める際に重要なポイント |
① 客観的かつ明確な評価項目・評価基準を決める |
2-1.客観的かつ明確な評価項目・評価基準を決める
研修の効果を正しく測定するには、評価項目と評価基準を客観的かつ明確なものにすることが大切です。
【評価項目・評価基準の例】
上記のように定めておけば、研修前後でどのような変化があったか正確に捉えられます。
2-2.定量 評価と定性評価の両面から効果を測定する
研修の効果は、定量評価と定性評価の両方を行うことで、より正確に測定することができます。
定量評価とは、業務データの変化を数値化することで、研修の効果を測定る方法です。
一方、定性評価では、研修受講者の行動や態度、変動などの変化や上司からの所感をもとに、研修の効果を測定します。
【定量評価・定性評価の具体例】
定量評価 |
定性評価 |
・ 月間売上が前年同月比でどれだけ上がったか |
・ 受講者の自己評価アンケートで「自信を持って提案できるようになった」と記載されている |
定量評価に比べ、定性評価は測定が難しいケースもありますが、そういった場合は複数の社員が協力し、研修前後で受講者の行動などがどう変容したのか、定期的に記録して評価するといいでしょう。
3.ステップ2|研修後アンケートを行う
研修効果測定の第一段階として実施したいのが、「研修後アンケート」です。研修後にアンケートをとることにより、下記のような効果を得られるからです。
研修後アンケートを実施することで得られる効果 |
・ 受講者にとって、研修の内容が有意義なものだったかどうか確認できる |
アンケートは、受講者が研修の内容を明確に覚えている「研修直後」に実施することをおすすめします。
アンケート結果が良ければ研修回数を増やしたり、規模を拡大したり、受講者の範囲を広げたり、といったことを検討してみましょう。
反対に、アンケート結果が芳しくなかった場合は研修内容を見直したり、講師を変えたり、といった対策を講じる必要があります。
研修後に実施するアンケートの内容は沢山考えられますが、一般的には下記のようなものをおすすめします。
研修後アンケートの質問内容の一例 |
・ 研修内容は理解できましたか? |
このような質問に対して5段階で評価してもらう形式にすれば、その結果を整理することにより、研修に対する受講生の反応を数値化して把握できます。
4.ステップ3|理解度テストを行う
研修効果測定の第2段階では、理解度テストを実施します。
理解度テストを実施すれば、受講者が研修内容をどの程度理解できたのかを確認できますし、学んだ内容をアウトプットすることによって知識を定着させる効果も期待できます。
ここで重要なポイントは、研修後に理解度テストを実施することを、受講生に予め伝えておくことです。
理解度テストがあることを伝えることで、受講者は「テスト対策をしなければならない」と考えるため、研修をより真剣に受けてくれることが期待できるからです。
4-1. 理解度テストの内容は「簡単な内容」と「本当に理解していないと答えられない内容」を織り交ぜる
理解度テストの内容は、下記2つの項目を織り交ぜて作成することをおすすめします。
・ 簡単な内容
・ 本当に理解していないと答えられない内容
「簡単な内容」とは、研修を聞いてさえいれば、簡単に正答できるものです。
これに対して、「本当に理解していないと答えられない内容」とは、研修を真剣に受講し、深く理解していなければ正答できないもののことをいいます。
例えば簡単な内容にするならば、選択式の設問で「正しいものを1つ選びなさい」という問いにします。
対して、やや難易度の高い内容にするならば記述式にするといいでしょう。
同じ問題でも答え方を変えることで、問題の難易度を調整できます。
4-2. 理解度テストは研修当日~数日後までに実施する
時間が経過すると研修効果を正しく測定しにくくなるため、理解度テストは、研修当日~数日後までに実施しましょう。
担当者や受講者のリソースに余裕があれば、[研修直前]→[研修直後]→[研修の数か月後]というタイミングでテストを実施する手法もおすすめです。
3つのタイミングでテストをすることで、研修前後の変化についてはもちろん、知識の定着度合いも確認できるからです。
5.ステップ4|行動量の調査・他者評価を行う
研修後3ヵ月~6ヵ月くらいのタイミングで実施したいのが、行動量の調査や他者評価です。
このステップでは、受講者が研修の成果を日々の仕事にどう活かし、それが行動の変化としてどのように現れたか、という点を測定します。
行動量の調査・他者評価をすることで得られる効果 |
・ 研修が実践向きの内容だったかどうかを確認できる |
このフェーズでは、定量評価と定性評価の両方を行い、研修の効果を多角的に検証することが大切です。
【定量評価・定性評価の例】
定量評価 |
定性評価 |
・ 架電数 |
・ 本人へのヒアリング |
架電数や訪問件数など、行動さえすれば評価される指標を取り入れることで、受講者の意欲を持続させる効果が期待できます。
また、上司やチームメンバーなど他社の評価を取り入れることも、受講者以外の視点から行動量の変化を客観的に測れるため効果的です。
行動調査・他者評価によって研修前後における受講者の行動量の変化を明らかにした後は、実践につなげるためのサポートをする必要があります。
測定結果をもとに、下記のような点について上司、同僚、部下など様々な角度から360度フィードバックを行いましょう。
フィードバックの内容 |
・ どのような行動をするべきか |
「架電数に変化がないため、まずは前日比3回増を目指して架電する」
「新商材の提案数が伸び悩んでいるため、1日の中で最低1回は新商材に関するトークを取り入れるよう意識する」
というように、具体的かつ”行動さえすれば達成できる”目標を示すと、受講者の行動変容を促しやすくなります。
6.ステップ5|ROI分析を行う
研修後、6ヵ月年~1年くらいのタイミングで実施したいのが、ROI分析です。
「ROI」とは「Return To Investment(投資利益率)」の略で、ROI分析とは、投資した価値に対してどれだけの収益を得られたかを分析する手法のことを言います。
研修効果測定の場面でROI分析をする場合、研修にかけたコストに対してどれだけの効果を得られたのか、という点に着目し、下記計算式によってROI(投資利益率)を算出します。
ROI=(研修によって得られた利益 - 研修にかけた費用)÷100 |
研修によって得られた効果については、例えば、下記のようなデータを調べます。
・ 成約件数
・ 売上
・ 生産量
これらの数値と研修にかけた費用(人件費や教材費など)をもとに上記県産式でROIを算出すれば、研修の効果を数値化できるでしょう。
ROI分析は1度だけでなく、研修後6ヵ月~1年の間に定期的に実施し、数値の変異を観察するのもおすすめです。
7.ステップ6|全体最適化を図る
研修の効果を最大化するためには、「2.ステップ1|評価項目・評価基準を決める」~「6.ステップ5|ROI分析を行う」でご説明した個別の効果測定を実施した後、その結果をもとに全体最適化を図ることが大切です。
7-1. 全体最適化とは
「全体最適」とは、組織全体が最適化され、企業全体として生産性の高い業務を遂行できる状態のことをいいます。
そもそも、企業は複数の部門で構成されており、部門ごとに仕事内容や目標が異なります。そうすると発生しがちなのが、部門ごとのパフォーマンスに差が生じる、という問題です。
部門ごとの生産性や能力に差があると、企業全体としての業務効率や生産性が下がります。
そこで重要なのが、全体最適化です。
全体最適を実現し、社員すべてが一定以上の知識やスキルなどを習得すれば、企業全体として高いパフォーマンスを発揮できるようになるからです。
7-2. 研修効果測定をもとに全体最適化を図る
研修効果の測定結果に基づいた全体最適化は、下記の流れで行います。
研修効果を測定したら、その結果を受講者のレベル別に検証しましょう。
そうすると、「誰を」あるいは「どの階層の人を」優先して育成すべきか、明確になってくるはずです。
そのデータをもとに、育成プログラムを見直します。
例えば、営業部門に所属する入社3年未満の社員の研修成果が芳しくない場合、彼らを優先的に育成できるようなプログラムを組むべきでしょう。
顧客対応品質やコンプライアンスの遵守など、全社員に共通して必要とするスキルの育成が必要な場合は、全体研修の実施が効率的です。
このように、研修効果を測定することは、単に「研修の成果を確認する」だけでなく、「企業全体のパフォーマンスを向上させる」うえでも、大いに役立ちます。
成長企業の営業研修に関する実態調査資料をご用意しました |
営業力強化に取り組んでおられる企業様のために、『成長企業の営業研修に関する実態調査』をご用意しました。
資料内では、3期以上連続で増収している企業に勤める営業推進・営業教育・営業企画担当者を対象に、研修の効果を最大化するために行っていることなど、10の設問に対する回答結果を解説しています。
8.研修効果を最大化するには記憶を定着させることが大切!
研修で学んだ内容を仕事に活かし、その効果を最大化するには、記憶を定着させることが大切です。
人は、研修で得た知識やスキルなどを理解し、定着させる、という過程を経て初めて、学んだ内容を実務で活用できるようになるからです。
研修は、「実施さえすれば必ず効果を得られる」ものではありません。
どんなに素晴らしい内容の研修でも、”やりっぱなし”では学んだ知識が定着せず、実務に活かせないのです。
研修内容を実務に活かすには、研修で学んだ内容を「定着」させ、その定着度を適切に評価したうえで「見える化」することが大切です。
そこでご紹介したいのが、「アダプティブラーニング」という手法です。
アダプティブラーニングとは、学習者一人ひとりの理解度や習熟度に応じて、教材や学習方法を最適化する学習アプローチのことをいいます。
例えば、個人の習熟度や忘却度に応じて出題頻度や問題難易度を調整する学習方法を取り入れれば、受講者は自分のレベルにあった学習ができるため、研修内容をより効率的に定着させられるでしょう。
そして、その学習状況や記憶状況を随時確認して「見える化」すれば、研修の効果を適切に測定することも可能です。
研修内容の定着化と効果測定に「Monoxer」を活用しよう! |
研修内容の定着や研修効果の測定には、「Monoxer(モノグサ)」をぜひご活用ください。
Monoxerとは、学習内容を「定着させるための仕組み」と「定着の見える化」を実現し、記憶定着をサポートする学習プラットフォームです。
研修内容など、憶え(させ)たい情報をオリジナルコンテンツとして問題作成することができます。
出題頻度や問題難易度は個々の習熟度・忘却度に応じて自動調整されますので、効率的に研修内容を定着させられます。
さらにMonoxerでは、学習状況と記憶状況をリアルタイムで確認可能です。
これらの情報を見れば、受講者の理解度を確認し、研修の成果を適切に測定できるでしょう。
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9.まとめ
研修効果測定は、下記の手順で実施します。
評価項目・評価基準は客観的かつ明確な内容で、定量評価と定性評価の両方を取り入れることが大切です。
そして、研修後アンケート、理解度テスト、行動量調査、ROI分析によって研修の効果が明らかになったら、その結果を受講生のレベル別に検証し、育成プログラムを見直すことで全体最適化を図りましょう。
研修は、「実施すれば必ず効果が出る」ものではありません。
だからこそ、研修を”やりっぱなし”にするのではなく、様々な角度からその効果を測定し、受講者へのフォローアップや研修内容の見直しをすることが大切です。
さっそく、研修効果測定に用いる評価項目と評価基準を決めることから始めてみてはいかがでしょうか。