「働き方」と「生徒との関係性」が変わった!Monoxerによる予想外の効果とは

2023/12/20
土佐塾中学・高等学校は、高知県高知市にある県内トップレベルの進学校です。生徒自らが「学ぶことの楽しさ」に出会えるよう、学力動態に応じたカリキュラムやプログラム、ICTツールなどの学習環境を提供されています。 今回はMonoxer導入の経緯や活用方法、導入後に起こった予想外の変化について、校長の草鹿広先生、英語科の藤澤佑介先生、山本忠司先生の3名にお話を伺いしました。

活用ポイント

  • 中1〜高1の英語科で「知識の定着」のために活用
  • 毎日出していた「英語の課題」をやめて、Monoxer学習に置き換え
  • 問題を出したままにせず、深刻になりすぎない雰囲気をつくりながら授業中にMonoxerの進捗率を確認

導入による効果

  • 毎日行っていた課題チェックや未提出者への催促が不要となったことで、教員の作業負荷が大幅に軽減
  • 「提出するため」になりがちだった課題が、「知識を身に着けるため」の課題に
  • 学習進捗が見えることでプラスの声掛けが可能になり、生徒との「関係性の質」が向上

「知識の定着」のためにMonoxerを活用

Q.土佐塾中学・高等学校の教育方針を教えてください。

<校長:草鹿先生>
当校では「未来を切り拓く力をはぐくみ、自らの創造性を遺憾なく発揮し、社会に貢献しうる人材の育成に努めること」を教育方針としています。 これまで学校とは「教師が生徒に教える場所」でしたが、これからは「生徒が主体的に学ぶ場所」へ変わっていく必要がありますので、その学び続けるサイクルを作ることを常に意識しています。

特徴としては、中高一貫校のため、高校入試がありません。
勉強のゴールを入試にする必要がないので、「教科を学ぶ意味」や「学ぶ面白さ」に焦点を当てた学びを展開しています。 中学段階では、目の前の結果だけにあまりこだわらなくてもいいように成績の付け方を少し変えたり、これまで出していた校内順位を出さないようにしました。テストの点数ではなく「自分が何をわかっていて、何をわかっていないのか?」が自覚できる成績やテストづくりを行っています。

<英語担当:藤澤先生>
アクティブラーニングや探究学習では「目の前にあるものを面白がる力を磨き、自分の興味関心を耕すこと」を目的に試行錯誤をしている段階です。

例えば、中学2年生は、先日高知市内でフィールドワークを実施しました。「市内を歩いて気になるものを探してみる」という目や耳などの五感を使って、気になるものを探すワークです。秋には修学旅行で京都へ行くので、そちらでも同じフィールドワークを行います。高知と京都の2都市を比べたときに「一体何が見えるだろう?」という学習を行う予定です。

また、本校では「PRE-1(プレワン)」と呼ばれる、学校全体の成果発表会があることも特徴です。中学も高校も区別せずに全校で1日、それぞれの興味関心についての発表を見合う機会があります。

 

Q.Monoxer導入から3年が経ちますが、当時はどのような経緯でご導入されたのでしょうか?

<校長:草鹿先生>
授業中の単語テストなど、知識の定着に費やしている時間を肩代わりしてくれるようなものを探していたとき、Monoxerを見つけました。

特に中学では「授業でどれだけ生徒の好奇心を育めるか?」を重要視しています。 せっかく学校という場所にわざわざ時間をかけて登校しているので、授業では人がたくさんいないとできないこと、たとえば「思考力」や「読解力」を磨くことに時間を使いたいのです。
知識の定着は、あくまでも期待ではありますが、生徒が各自でどんどんやってくれたらいいなと思っています。

<英語担当:藤澤先生>
ICTツールは、Monoxer導入前にもいろいろ試していました。
動画学習も試しましたが、活用が進む様子はあまり見られず、手応えが感じられなかったですね。演習の数も限られていたので、動画を見ることがメインになり、生徒が受け身になりがちだったように思います。

その点、Monoxerは「生徒が自分でどんどん問題を解き進めていけるアプリ」だったので、それが当時珍しかったという記憶があります。忘れたころにもう一度出題されたり、自動で最適化されたものを提供してくれるのも他と違うと感じました。

 

Q.現在、どのような場面でMonoxerをご活用いただいていますか?

<英語担当:山本先生>
現在、私は中学1年生の全クラスで英語を担当しています。

Monoxerを使い始める前に、実体験を踏まえた「反復学習の大切さ」を全クラスの生徒たちに話しました。「何度も繰り返し学ぶこと・練習することは、すごく大事。Monoxerはそのためにすごくいいよ」とあらかじめ伝えていたことで、Monoxerをスムーズに使い始められたかなという印象があります。

1学期は、Monoxerの使い方に慣れてもらう期間でした。
例えば「今から10分間は、Monoxerの時間だよ」というように、授業時間内に使ってもらうようにしましたね。

夏休みの宿題では、Monoxerを予習に活用しました。
あくまでも任意での取り組みのため、生徒には「成績に加味しない宿題」と伝えていたのですが、驚くことに50%以上の生徒がその宿題をやってきていました。
2学期の授業が始まると、Monoxerで夏休みの宿題をやった生徒の中から「見たことがある!」「意味を憶えている」という声があがり、授業が進行しやすかったです。復習だけでなく、予習の場面でもMonoxerを使えると思いました。

 

「勉強したフリ・チェックしたフリ」からの卒業

Q.Monoxer導入後、大きく変わったと感じることはありますか?

<英語担当:藤澤先生>
Monoxerを使うことで、以前よりも実りのある学習が提供できるようになったと思います。
導入する前は「ノートに1ページ、単語や教科書の文章などの英語を練習して提出する」という課題を毎日出していました。 朝生徒が提出して、教員が休み時間にチェック、返却、そして出していない生徒には確認しにいくというのが日課でした。この「未提出者への確認」が大変な上に、生徒がどれくらい課題に着手できているかを問わず、課題が提出できていないなければ声掛けをしていたので、どうしても教員からの第一声がマイナスなものになっていました。

また、提出した生徒の中にも、何も考えずに3分くらいで書いて出すような子もいたので「提出はしているから丸をつけるけど、なんだかなぁ」とやり切れない思いを抱いてしまうこともありました。ちょっと言い過ぎかもしれませんが、「勉強したフリ」「チェックしたフリ」をすることでお互いにアリバイを作っているような、今振り返るとそんな風に感じます。

「毎日提出させている課題を、Monoxerでの学習に置き換えられないか?」という狙いが当初からありましたので、機械が「記憶できている」と判定しないと課題が完了にならない点や、生徒毎の課題の進捗度をリアルタイムで確認で来るようになった点から、今ではうまく代替されたなと感じています。

また、学習計画機能を活用することで、Monoxerでの学習が軌道に乗った感触もありました。憶えて欲しい学習範囲に対し、学習期間を設定するとその期間内に対象範囲の内容が記憶できている状態になるように、自動で1日の学習量を計画してくれます。学習進捗率も表示してくれるので、生徒たちは毎日の学習量の目安が分かるようになったことで、進捗率が100%になるまで繰り返し学習してくれるようになりました。今では150〜200語を学習するのに、学習計画機能を設定して配信しています。

 

Q.その他、Monoxer導入後に感じた変化はありましたか?

<英語担当:藤澤先生>
先ほど、課題を出していない生徒に対して「マイナスの声掛けからコミュニケーションが始まっていた」とお伝えしたのですが、Monoxerを使うようになり、生徒の「やったこと」が可視化されるようになったことで、生徒へのプラスの声がけが非常にしやすくなりました。

生徒が「先生、ちょっとやったで」と言ってくれるようになったり、こちらも「3日も進んだやん!」とできたことにフォーカスを当てて認める関係性ができました。個人的にMonoxerをやって一番良かったなと思っているところなのですが、生徒との関係性の質がすごく上がったなと感じています。

 

Q.Monoxerで学習するときのここが良い!というポイントはありますか?

<英語担当:藤澤先生>
Monoxerで問題を解くと、解答がわからなくてもどんどん次の問題が生徒の習熟度に合わせて難易度を変えて出題され続けるので、生徒の学びが止まらないという印象があります。他の教材をやっているときと違って、最後まで投げ出さないですね。授業時間にみんなで取り組むときは、終わりにするタイミングが難しいくらいです。生徒の集中力が高いですね。

Q.Monoxerを使った学習習慣をつけるために、特別に意識したことはありますか?

<英語担当:山本先生>
生徒にやらせたままにするのではなく、授業中にMonoxerの話題を出すようにしました。
私は全員の進捗率がわかる管理画面はあえて投影せず、教員だけが手元のタブレット画面を見ながら「◯◯くん、よくやってるね」など、進捗率の高い生徒の取り組みについて、名前をあげてコメントしたりします。
逆に、あまり課題が進んでいない子については名前を出しません。でも、タブレットを見ながら「先生はみんなの取り組みを見ているよ」というメッセージを生徒に伝えることで、学習モチベーションが高まるようにしています。

<英語担当:藤澤先生>
私の場合は、授業のはじめと終わりにMonoxerの管理画面を映しながら「どこまでだれが進んでいるのかランキング」を出していました。あまり深刻になりすぎないトーンや言い方で全体の進捗率を見ながら「ちょっとまずいなー」と言ってみたり。生徒が私の様子を見ることで、やる気や焦りを感じてもらえるように意識していました。

もう一つ、取り組んだこととしては、成績表の点数の横に「モノグサ◯%」と進捗率を書いて生徒に返すようにしたことです。 

一時期、「生徒のMonoxer進捗率が伸び悩んでいるな」と感じたことがあったのですが、それをきっかけに毎月行うテストの成績表で、丁寧なフィードバックを返すようにしました。具体的には、「長文読解 ●点」と書いた横に、「モノグサ ●%」と、該当単元のMonoxer進捗率を書いておきました。
すると、生徒が「Monoxerのパーセンテージがあがると、テストの点数があがる」ということに自分で気づき始めました。一度100%までやった子は、そのあともずっと100%になるまで取り組むようになりました。100%に届く学習スタイルを手に入れた子は、その価値を自分の中でわかったのだと思います。 進捗を細かく追いかけているわけではないのですが、生徒の成長と共にMonoxerでの進捗率があがってきているという実感があります。

 

Q.Monoxerを導入した効果を感じる場面はありましたか?

<英語担当:藤澤先生>
本校では、ネイティブ教員による英語授業があります。
その先生から「昔と比べて、授業がやりやすくなった」というコメントがありました。特に「英単語の意味をよく憶えている」というフィードバックがあったのですが、意味を聞いたときの生徒の反応が以前に増して活発になり、意味を確認する時間自体も短くなったと私も肌感覚ですが感じています。

あとは、生徒の学習をMonoxerが支えているなと感じる例があります。
生徒の中に、成績はあまり良くないけどMonoxerがとっても好きな生徒がいるのですが「今までだったら、あの子は潰れてたかもしれない」と感じることがあります。
「ペーパーテストの点数が悪い」=「ぼくは英語ができない」=「だから英語がきらい」とならずに、「Monoxerが好きだから、Monoxerを使った英語の勉強は諦めない」となっています。書いて憶えるのが苦手でもMonoxerがあることで、英語という教科にポジティブなモチベーションを保てていると感じます。

 

導入するまでわからなかった、Monoxerによる予想外の効果

Q.その他に、Monoxerを導入してよかったなと思うことはありましたか?

<英語担当:藤澤先生>
毎日のノート課題がなくなったことで、空きコマでのノートチェックや、放課後に出してない生徒を追いかけてやらせるという対応が不要になりました。これがすべてなくなったことで、精神的に余裕が出たと感じています。自覚していませんでしたが、負担に感じていたのかもしれません。

この変化は、導入前には期待していませんでした。生徒の成績向上以外にも、「教員の働き方」や「生徒との関係性の見直し」など、導入前には見えていなかったことが、実は効果として一番大きいものだったと今になって感じています。

これまで課題のノートチェックをしていた空きコマ時間は、代わりに図書館へ行って、探究学習などの授業準備のために時間を使えるようになりました。放課後、将棋部の生徒と将棋をしたり、生徒と遊べる余裕も出てきました。
このように「新たに生まれた時間を生徒に還元できている」ということが、働くモチベーションや自分の心にとってプラスになっています。

 

Q.最後になりますが、Monoxer導入を検討されている方へメッセージをお願いいたします。

<英語担当:藤澤先生>
Monoxerを導入するとき、学校側や教員がもっとも重視する点は、生徒の成績向上だと思います。私も導入の合意形成をする段階で、大変な難しさを感じました。

反対意見もありましたが、導入して3年経った今、振り返って思うのは「導入前には予想もしていなかったこと・導入したから初めてわかったことが、何よりもすごく大切だった」ということです。

教員の作業負荷が軽減したことで、授業準備に当てられる時間が生まれました。 「やったこと・できたこと」に着目する声掛けができるようになったことで、生徒との関係性の質が上がりました。
Monoxerを導入して、この点がもっとも大きな変化であり、効果だと感じています。数字で表せるものではないだけにお伝えすることが難しいのですが、この効果をひとりでも多くの方に知ってもらいたいと思っています。

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