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こんにちは、Monoxerの中村です。
2021年10月16日(土)に、『~生徒1人ひとりの希望進路実現に向けて~ 鳥取城北高校が挑むICT教育改革』セミナーを開催いたしました。鳥取城北高校がいかにICT教材の導入を行い、運営していったか、その中でMonoxerをどのように活用していたか、3人の教諭に具体的なお話を伺いました。
ICT教育にご興味のある方を始め、教育関係の皆様に本セミナーの模様をレポートいたします!
セミナー登壇者プロフィール
鳥取城北高等学校
鳥取砂丘から約5キロに位置する鳥取県鳥取市の私立高校です。生徒数は約1,150名で以下の3コースがあり、多様な目標や得意分野をもつ生徒が集います。
・研志コース:2年次から保育・看護・キャリアなど分野別
・志学コース:国公立、難関私立進学目標
・スポーツ科学コース(体育クラス・特進クラス):部活動から全国をめざす
相撲部、書道部など全国大会など活躍する部活が多数あり、相撲部出身の第73代横綱・照ノ富士は有名です。
田中 基洋(たなか もとひろ)先生
鳥取城北高等学校教諭(英語)。2019年から学校のICT推進に携わり、生徒用の共有端末及びG Suite for Educationを導入。2021年度には新入生ひとり一台端末の環境を整えた。現在は「ICTは文房具」が当たり前となるよう学校内のICTスキルアップに取り組んでいる。
田中 将省(たなか まさみ)先生
鳥取城北高等学校教諭(理科)。第2学年主任。『「知りたい」を育てたい!』をモットーに、2012年から物理のアクティブラーニング型授業に取り組む。現在はICTを積極的に活用しながら、生徒の主体性を高める授業づくりに挑戦している。
山根 正樹(やまね まさき)先生
鳥取城北高等学校教諭(英語)1000人を超える生徒が在籍する鳥取城北高等学校の進路指導部長を担う。「あなたの夢を叶えたい」がモットーであった前進路指導部長の意思を引き継ぎ、就職から難関大学進学まで生徒の多種多様な進路実現を達成するために日夜研鑽。
鳥取城北高校ICT推進の歩み(田中 基洋 先生)
本校では2018年4月からICT教育改革に取り組んでいます。校舎改築を機に、どこでもWi-Fiがつながるようになり、すべての教室に以下の画像にあるようなプロジェクターやスイッチボックス、スクリーン機能をもった黒板を完備しました。
本校は以前からアクティブラーニングに取り組んでいましたが、完全なアナログであったため、急激な変化に十分に活用できないこともありました。
そして、2018年9月に端末環境の整備を始めました。生徒用の共有端末としてChromebookを80台、iPad40台、教員用端末としてiPad45台整備しました。教員用の端末は、希望する教員に配布し授業や校務で活用しています。
しかし、Googleアカウントは未整備、端末も1~2クラスしか使うことができず、当時はまだ十分に活用できない状態でした。
そこで、ICT推進を組織化しようという動きが始まり、2019年5月に私が「Google認定教育者レベル1」にチャレンジし合格しました。
しかし、多くの教員が「Gsuiteって何?」という状態で、学校全体の活用としては、依然として大きな課題がありました。
1stステージから1年経ち、2019年9月に端末環境の追加購入を行い、生徒4~5人に1台使えるようになりました。端末は、以下の画像のように職員室で管理しています。
ICT推進が一気に加速したのは昨年のコロナ禍でした。2020年4月2日から休校となり、教科別、学年別に教員に向けてICT研修を行いました。
ここまで、自力で行ってきたため外部に依頼することなく80名の教員に研修が実施できたことは本校にとって大きな事でした。
オンライン授業の方法は、最初の5分は授業の指示、その後30分はそれぞれの教員のスタイルで授業、最後の5分振り返りアンケートという形をとりました。オンライン授業では、Monoxerを使用しましたが、詳しい内容は後ほど山根先生からお伝えします。
2020年10月から1人1台の端末環境に向けた準備を開始しました。しかしその前に、通信遅延やエラーの原因を調査しWi-Fi環境を再検討する必要がありました。NTTの回線を増やすなど環境整備を行い、1,000人規模で繋いでも大丈夫という状況を4月までに作ったのです。
さらに、今まで学校側で端末を用意していましたが、2021年度からはChromebookを1人1台、個人負担で購入してもらうことにしました。文房具としてChromebookを使うことで、生徒の学び方に変化が表われました。
Monoxerアンケートの結果
ここで、先日1年生の生徒を対象に行なったMonoxerのアンケートの結果を紹介させていただきます。
どのような場面で利用してますか?という問いには、授業、自主学習、英検対策と多くの生徒が答えています。
また、「Monoxerの好きなところ・良いところ」を生徒に尋ねたところ、以下のような回答が返ってきました。
最後にICT教育についてまとめさせていただきます。
ICTを使うことがゴールではありません。生徒一人一人の特性に応じた可能性を伸ばしたり、21世紀に求められるスキルを生徒が身につけたり、予測困難な時代の課題をテクノロジーで解決する方法を探求したりするためにICTを活用できるように学校をアップデートしていきたいと考えています。
「守りのICTから攻めのICTへ」をテーマにがんばっていきたい、全国の学校の先生、行政関係、教育関係の方々と協力しながら日本のICT教育を盛り上げていきましょう!
ICT活用の実践報告(田中 将省 先生)
私の方では、ICTを活用した物理の授業、動画教材のつくり方、ICT活用で大切にしていることの3つのテーマでお話します。
ICTを活用した物理の授業
私は「自律学習者を育てる」というテーマで授業改善を行ってまいりました。そのためには、個別最適な学びと協働的な学びから、いかに主体的・対話的で深い学びを行うかが大切です。
物理の授業についてお話します。アクティブラーニングの先駆者、小林昭文先生の授業をモデルにして行っています。
最初に15分の講義を行い、その後20分の問題演習、その後5~10分確認テスト、授業後にリフレクションを行います。
講義で大事にしていることは、学習目標を示しコンパクトに説明することです。細かな説明を求める生徒には、動画教材を使うなどで対応しています。
講義資料は、PDFファイルにしてアプリで配信しています。私は、日常と結びつけて物理基礎を説明することを目指し、「熱量の保存の法則」をハンバーグの鉄板、「摩擦力」を家の引き戸などの画像を使って説明しています。
問題演習はチームで協働しながら取り組みます。ここはあえて計算などをするため、プリントアウトをして配布しています。話しやすい環境をつくるため、質問によって生徒に介入し教員がファシリテーターの役割を担っていきます。
困っている生徒には、問題解決の手段として、講義資料や教科書を読む、チームメイトに聞く、動画教材を資料にするなど、一人ひとりに学びの選択肢を与えます。これが、「個別最適な学び」というところです。
確認テストは問題と回答フォームを配信し、アプリで自動採点、解答解説の自動返信が行える仕組みをつくっています。
リフレクションフォームを毎日配信し、翌日に確認しています。生徒はリフレクションフォームに当日中に授業態度の達成度、学習の理解度、質問・感想などを入力して返信します。
動画教材のつくり方
動画はがんばらなくてもつくれます。私は、プレゼンバージョンと手描きバージョンという2種類の動画を作成しています。
プレゼンバージョンは、GoogleMeetで画面共有を録画しGoogleDriveに自動保存しURLを生徒と共有します。
手描きバージョンの動画は、WEB用書画カメラで手元を撮影します。ペンで書きながら解説して動画を作成しています。
ICT活用で大切にしていること
最後にICT活用ですが、先ほどの田中基洋先生と同じく、目的であってはならないと思っています。
ICTはどんな授業であっても、「学びの障壁を打ち破るための手段」だと思っています。
さらに、授業改善のみならず、教員がチャレンジする姿を生徒たちに示していきたいと考えています。
進路指導と英検におけるMonoxerの活用(山根 正樹 先生)
総合選抜・学校推薦型とICT、英検Monoxerの取り組み、コンテンツ教育とコホート教育という3つのテーマでお話します。
総合選抜・学校推薦型とICT
大学入試の種類というものは大きく分けて3つあります。総合型選抜(旧AO入試)、学校推薦型選抜(旧推薦入試)、一般選抜の3つで、一般選抜が一般入試にあたるものです。
少子高齢化が進み、子どもの数がどんどん少なくなっていく中、私立大学においては入学者の確保というのが1つの課題となっています。
このような状況から、総合型とか学校推薦型割合を増やしている大学が多いのが現状です。
今まで、私は総合型選抜や学校推薦型選抜で同志社大学、立命館大学、国際基督教大学、青山学院大学などに合格者を出しています。実際のところ、これらに合格した生徒の学力は、一般入試レベルでは合格点には及んでないかもしれません。
学力以外のところを評価してもらうために、ICTを活用していきました。
ICTを活用してブレインストーミングなどを行うことで、今まで時間がかかっていた志望理由や面接対策が非常にスムースになりました。
英検Monoxerの取り組み
総合型選抜、学校推薦型選抜、ともに英検が有利なポイントになります。
関関同立といった大学群では、スポーツ推薦でも英検の四技能スコアがないと出願できない学校も増えています。
このような状況から、「英検を取りましょう」ということで「鳥取城北英検プログラム」を打ち立てて取り組んでいます。
1月に実施される第3回の英検で受験級を決め、毎日Monoxerに取り組みます。運用の仕方は少し厳しくやっておりまして、一定の期間進捗が遅れると居残り、もしくは小テストを実施しています。
コンテンツ教育とコホート教育
何かを学ぼうと思ったらGoogle で検索すればいい、YouTube で見ればいい、そういう時代になってきています。
コンテンツ教育が発展してきた一方で、田中将省先生がおっしゃられた主体的で対話的な教育、つまりコホート教育の重要性が増しています。
コミュニティやグループを作って話し合い、考え、自分たちで気づいて全員がやり遂げるという教育も同時に大切になってきたように感じています。
おわりに
当日ご参加くださった皆様、また、本レポートを最後までお読みくださった皆様、誠にありがとうございました!
Monoxerに興味が湧いた!もっと知りたい!という方は、是非資料請求や無料トライアルのお問い合わせをいただけますと幸いです。
また、今後も継続的にイベントを実施しておりますので、是非ご参加ください。
今後とも、解いて憶える記憶アプリMonoxerをどうぞよろしくお願いいたします。