セミナーレポート

6/25「生徒の学習習慣の定着におけるICT活用」セミナーレポート

こんにちは、Monoxer広報担当の中村です。
2022年6月25日(土)に、「生徒の学習習慣の定着におけるICT活用」セミナーを開催いたしました。東大阪大学柏原高等学校でICT教育推進主任を務めている内田幸甫先生に、学習習慣の定着に効果的なICT教材の活用方法をご講演いただきました。

生徒が自ら学習を進めていくため、ICT教材はどのように活用すれば良いのか?
ICT教育にご興味のある方を始め、教育関係の皆様に本セミナーの模様をレポートいたします!

プロフィール

東大阪大学柏原高等学校
大阪府柏原市に位置する私立高校。アドバンストコース、キャリアアップコース、キャリアアシストコース、スポーツコース、調理コース、美術コースと生徒がそれぞれの自分らしさを追求し、様々なコースの中から学び方を選べる環境がある。修了後は大学や専門学校への進学の他、就職率も高く、進路選択に幅があるのも特色の1つ。

内田 幸甫(うちだ こうすけ)先生

1992年 兵庫県加西市生まれ。
大阪教育大学卒業。大学4年間は大阪府青少年活動財団に大学生ボランティアリーダーとして所属し、野外キャンプを通したチームビルディングや人間関係作りを学んだ。
大学卒業後、現職の東大阪大学柏原高等学校で勤務。2021年度より、ICT教育推進主任を担当。 教科は数学。

【ICT教材と活用方法】安心して利用できる環境を整え、学習や情報共有を効率化



本校におけるICT教育ですが、まずは2020年度より教員に1人1台のiPadを整備いたしました。
2021年度からは新入生に1人1台のiPadを整備し、2022年度は、1、2年生がiPadを活用した学校生活を送っています。

現在、生徒のiPadは3年間のレンタルとなっております。またMDM管理、教育フィルタリングと制限がかけられており、あくまでiPadは「教具」だという意識を持ってもらうようにしています。

活用しているICTツールを紹介します。まずはGoogle Classroom・Googleドライブです。こちらは多くの学校でも利用されているかと思います。
本校でも際立って個性的な使い方をしているわけではないのですが、長期休暇やコロナ休暇などの際だけではなく、普段から授業内でも資料の配布や課題の配信・回収を行うようにしております。

続いてSlackです。こちらは教員業務で活用中です。
Slackでは様々なチャットルームを作ることができますので、本校では各学年や各分掌ごとのチャットルームを作成して業務の内容を共有しております。

例えば自分の担当ではない学年や、自分の担当ではない分掌が現在どんな業務を行っているかといったことも、Slackを使えば共有ができるようにしております。
また、職員朝礼の連絡事項等も事前に配信することで時間を短縮するとともに、出張や休暇で不在の先生方もこの職員朝礼のチャンネルを見れば、情報共有が可能になるように工夫をしています。

続いてAppleクラスルームです。本校ではiPadを活用しているため、私自身も導入したいと思っていたアプリになります。
その理由はいくつかあります。一番大きな理由としては、ICTに対する先生方の不安な気持ちを少しでも解消したいという思いがあったためです。

ICT教育推進主任としては、たくさんの授業でiPadを活用して頂きたいのですが、ベテランの先生方の中には少し消極的な先生もいらっしゃるのではないかと思っていました。
その理由としては、自分よりも生徒の方がこうしたiPadを使うことに慣れており、自分の思いがけないところで何かトラブルが起きてしまうのではないか、という不安を抱えておられるのではないかと感じていました。

ですがAppleクラスルームでは基本的には初回の設定が完了すれば、2回目からはすぐに使うことが可能であり、慣れていなくても簡単に活用できるようになっています。
さらに生徒のiPadを一時的に制御することや、生徒の画面をリアルタイムで一覧表示することもできますし、この場面では使用したくないという時にはロックをかけることも可能です。

これからはiPadを用いた小テスト等も積極的に行おうと思っていますが、ペーパーテストとは違って、規範順守だけでは不正行為を防ぐのが難しいかもしれません。
しかしAppleクラスルームにある上記の機能を使うと、不正行為の防止もスムーズにできるのではないかと思います。

こうしたツールを先生方にも提供することで、少しでもiPadを使った授業への抵抗感をなくしてもらいたいと考えました。

続いてPages、Keynote、Numbersです。
iPadの標準アプリであるこの3つですが、特に使う場面としましては課題を何か制作する場面で使用する頻度が高いように思います。

具体的には国語科であれば、自分の好きな詩や心に残った名言についてPagesやKeynoteを用いて資料を作成します。
社会科では現在学習している「三権分立」について自分で調べ、その内容を基にポスターを作ってみるといった活用事例がありました。

また私自身が数学の担当ですので、こうした資料をまとめる際に何か数式を打てるようにしたいという思いがありました。
PagesやKeynoteではLaTexのコマンドを用いて数式を入力することができます。
つまり、シグマやインテグラルといった難しい数式も入力する表現することが可能なので、現在、色々と練習を進めている次第です。

その他、部活動でも活動の振り返りなどを、こうしたアプリを使って資料にしている事例もありました。
教員においても、PagesやKeynoteを用いて会議の資料や校内のポスターを作成するなど、授業外でもしばしば活用されています。

授業中の活用方法としましては、生徒が教員から提示された課題内容を基に、Safariを使って調べ学習をします。
その学習成果について、みんなで共有したい場合はGoogleドライブに、先生に一対一で提出したい場合はGoogle Classroomに提出してもらうようにしています。
こうした調べ学習を通して学習意欲を高めるとともに、様々なICTツールを活用する能力も養っていきたいと考えております。

【授業スタイルの最適化】集中力向上に向けて時間配分を調整、個別の進度に合わせる

ここからは学習習慣定着に向けての取り組みということで、私の考えと実際に本校で実施している内容をご紹介したいと思います。

まず授業スタイルについてですが、私自身iPadを導入した授業をしていく中で、従来の授業にiPadを取り入れるのではなく、これからはiPadを中心とした授業スタイルへと変えていくべきではないかと感じました。
そういった意味では、授業中の集中力向上に向けて時間配分を調整すること、個別の進度にしっかり合わせていくこと、これらが重要ではないかと思っております。

特に勉強に苦手意識のある生徒にとっては、みんなと一緒のペースで進んでいく50分間の授業は集中力が続かないことが多いと感じるので、できる限り個人作業の時間をこまめに設定することで、生徒主体の時間を確保したいと考えています。

具体的には新しい内容を学ぶ一斉授業の時間を授業の半分程度にし、残りの時間は個人のペースで進められるような時間として、PagesやKeynoteを用いた制作、Monoxer等を用いた自習などに利用しています。

従来通り、ワークやプリントを用いた問題演習の時間も確保していますが、その際には個別の進度に合わせるといった点で、待ち時間を減らす工夫を常に意識するようにしています。

例えば解答を事前にGoogle Classroomで配信することで、早く解けた生徒からその場で解答を確認し、答え合わせの時間を作ることができます。
また逆に勉強に苦手意識のある生徒もどうしてもわからない場合は、まず解答を見て自分のどこにつまずきがあるのか、そうした点を自分で確認できるような時間を提供するようにしています。

このように授業スタイルを適切に調整することで、集中した授業環境を作っていくことが学習習慣定着の第一歩ではないかと個人的には思っています。

【Monoxer活用事例】5つのポイントによりICT教育の中心として活用

続いては本校におけるICT教育の中心となっているMonoxerについて、学校全体で工夫している点をご紹介したいと思います。

その①は「学習方法の明確化」です。

本校の生徒でも学習意欲はあるものの、家庭学習の際どのように、また何を使って学習すれば良いのかわからないといった生徒も多いように感じていました。
そこで本校では基本的に全ての科目でMonoxerにより授業の復習を配信し、「家庭学習はMonoxerを中心に進めれば良いんだ」と思えるように工夫をしています。

このMonoxerの復習教材に関しては、各授業での教え方や進度に沿った内容で復習ができるように、book(問題集)はできるだけ教員が自ら作成するように心がけています。
また、教科によって復習教材が異なると生徒によっては混乱してしまって、自主学習に消極的になるのではないかと思っているので、全ての教科でMonoxerを使うことも意識しています。

そのため、生徒に向けてはたくさんのbook(問題集)を随時学習している状態にしていますので、上記画像の図の右にあるように各学級の教科ごとのクラス分けをすることで混乱を避けるようにしています。

その②は「学習計画機能を活用したタスクの提出指導」です。

Monoxerの学習計画機能では、例えば英単語100単語を効率よく20日で憶えさせるために「20日」と設定すると、AIが効率よく憶えられる期間で問題数を考えてくれます。
本校でも先ほど説明した授業の復習としてのタスクに関しては、この学習計画を短期間に設定することで計画の完遂をノルマとするようにしております。

具体的には、単元の終了後に問題を配信しますが、この時の問題数は多すぎない20問程度で作成します。
また学習計画もあまり長い期間にならないように設定をしています。そうすることで、生徒の負担が大きくなりすぎないように工夫をしています。

例えば3日間で設定しますと、図の下部にあるように生徒のiPadへ表示されます。
すると生徒は「100%を3つ達成すること」が目的とはっきり認識できますので、短い期間でも必ず学習計画をつけて配信をするようにしています。

本校ではMonoxerを広く活用しておりますので、多くの教科で課題が配信されています。そこで生徒の負担を軽減するため、授業時間内にも学習タイムは設定するように心がけています。
こうすることで生徒の中で「100%を達成することが目標、授業で終わりきらなかった部分は家庭学習で補おう」といったイメージが付くようなシステムにしています。

また欠席した生徒の課題提出が遅れないよう、学習計画は先取り可能に設定して配信しているのもポイントです。
このように生徒も「100%を積み上げる」という目標をはっきり提示されることで、自分が学習している実感が湧くと思いますので、この学習計画機能は提出物としても積極的に活用しています。

その③は「Monoxer×調べる」です。

先ほど、「100%を積み上げることが生徒のやる気アップに繋がる」と説明しました。
しかし実際タスクに取り組んでも、間違えてばかりで学習計画のパーセンテージが進まなければ、結局のところ苦手意識のある生徒のモチベーションは下がる一方です。

そこで本校では、Monoxerに取り組む際に教科書やノートを見ることはもちろん、iPadの2画面機能を使って調べながら学習をしても良いこととしています。
例えば「英単語でわからないものがあれば、2画面でGoogle検索をかけてもOKだよ」のような説明をしています。

また、教科によっては解答となるプリントを事前に配布しておき、わからなければそのプリントから正解を探し出してMonoxerに入力できる、といった工夫もされています。

まずは自分で学習計画を100%にできることがスタートだと思いますので、問題に正解できるよう生徒に何か工夫できる方法を提供することは、非常に大切なことではないかと思っております。

その④は「定期考査との連動」です。

先ほど、「学習計画機能をつけることでMonoxerにおける学習を提出物としての役割を与える」という説明をしましたが、それだけではなく、本校ではMonoxerを定期テストとうまく連動させることで、テストの点数アップに繋がるということを強調して伝えるようにしています。

そのため定期考査の内容には、Monoxerに登場した問題を必ず含めるようにしています。
基本的にはペーパーテストを行う全教科で、この定期テストの連動を意識をしております。
これにより、生徒はMonoxerの学習計画を完遂させることが、定期テストの点数アップにも繋がると実感できるようになり、さらに意欲的に取り組んでもらえるようになりました。

ただここで少し工夫した点は、本校では授業の復習で取り組む内容は先ほど説明した通り、各学級の教科ごとのクラスに配信されています。すると、このままではどのbook(問題集)がテストに関係するものなのかというのが、生徒には少しわかりづらくなってしまいます。

そこで定期考査に関係する内容は、「定期考査対策クラス」というクラスを特別に設定をして、ここに配信してもらうように先生方に依頼をしています。
また「定期考査対策クラス」に配信されている課題に取り組む場合は、定期考査の出題範囲を満遍なく対策できたことが自身で確認できるよう、フラッシュカード機能を活用することを勧めています。

その⑤は「学習評価への反映」です。

本校では、22年度からの新学習指導要領における「主体的に学習に取り組む態度」の評価についても、Monoxerを関連付けるようにしています。
この主体的態度をどのように評価すべきかに関しては、本校でも幾度となく議論が行われました。

その際に、普段から活用しているMonoxerの特徴について振り返ってみました。
Monoxerは、AIが各生徒の記憶度に応じて出題する内容を選択してくれます。これは言い換えると、効率よく自分の苦手を克服することに繋がります。
また、各問題での記憶度が自分で後から確認できますので、自らの学習状況をICTツールを用いて理解することができるようになっています。

これらの点を踏まえると、Monoxerに取り組むということは「自分の苦手克服に向けて頑張っている、つまり自らの学習状況を調整している」と解釈できるのではないかと思います。
自らの学習を調整することは主体的に取り組む態度の側面の一つとなりますので、頑張ってMonoxerに取り組み苦手克服に向けて頑張っている生徒は、主体的態度の評価にも反映するようにしています。

また、先ほど説明した通りMonoxerは定期考査の対策にも活用されておりますので、3観点における「知識・技能」「思考・判断・表現」とも結び付けることができます。

そのため、まずMonoxerで学習計画を完遂させることで「主体的に学習に取り組む態度」の評価がアップします。
Monoxerの完遂は定期考査の対策にもなっていますので、テストの点数が上がり「知識・技能」「思考・判断・表現」の評価もおのずとアップされることが予想されます。

つまり積極的にMonoxerに取り組むことで、主体的態度だけでなく3観点全ての評価がアップしていくことを、生徒には伝えるようにしています。

【校内研修の充実】教員スキルの向上を図り、生徒の取り組みに関心を高めていく

ここまでMonoxerの活用方法に関する説明をさせていただきましたが、学習習慣定着に向けては教員側のスキルも大切だと思います。

そこで本校では、校内研修の充実を図っています。
その際に意識しているのが、「自分が提案したいと思うことは、自分の言葉で伝える方が伝わりやすい」ということです。
なので、研修でも可能な限り教員自らがマニュアルの作成まで行い、講師を務めるようにしています。

具体的には、2022年3月に6回に分けて本校の各サービスの研修を、それぞれ別々の内容で行いました。
また出張や部活動で欠席した先生やもう一度聞きたい先生には、日程を決めて個別研修も行いました。

その結果、世代を問わず多くの先生に参加をして頂き、和やかな雰囲気で研修を進めることができました。
以前はMonoxerの問題作成についても、各教科の得意な先生のみが行うことが多かったのですが、今年度に入ってからはベテラン教員の先生も積極的に取り組んで頂いております。

Monoxerの研修を行う際に気を付けたポイントとしましては、いきなりCSVを使うとなると敷居が高いと思いましたので、まずはiPadで問題作成する方法から練習しました。

iPadで問題を作成するのは他にもメリットがあり、一つずつエントリー入力する方法であれば、選択問題だけでなく文章の空所問題も混ぜ込んだbook(問題集)を作成するといったように、様々な種類の問題を複合することもできます。

Monoxerで教員自ら作成した問題を配信するからこそ、生徒の取り組みにも関心が高まったと思いますし、そういった雰囲気が全体的にICT化が進んできた要因だと感じています。

教員間が同じ方向で進めることが生徒の学習習慣の定着には必ず必要だと思いますので、校内研修の雰囲気作りやアフターフォローは大切にするようにしています。
教員がスキルアップすれば、生徒の努力をより多くの先生方が認めてあげることにも繋がるので、今後ともスキルの向上に務めていきたいと思っています。

おわりに

当日ご参加くださった皆様、また、本レポートを最後までお読みくださった皆様、誠にありがとうございました!
Monoxerに興味が湧いた!もっと知りたい!という方は、是非資料請求や無料トライアルのお問い合わせをいただけますと幸いです。
また、今後も継続的にイベントを実施しておりますので、是非ご参加ください。
今後とも、解いて憶える記憶アプリMonoxerをどうぞよろしくお願いいたします。

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