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こんにちは、モノグサの中村です。
4月22日に 弊社CTOの畔柳が『記憶はスキル』という本を出版させていただき、これを機に記憶について考えるセミナーを開催しました。
Monoxerをご活用いただいている先生方にも集まっていただき、教育現場における記憶、学習における記憶についてお話しさせていただく機会になりました。
畔柳から本を通して伝えたいことをお話しさせていただいた後に、参加いただいているゲストの皆様それぞれの「教育現場における記憶」について、お話をいただきました。
セミナー登壇者プロフィール
畔柳 圭佑(モノグサ株式会社 代表取締役CTO)
モノグサ株式会社 代表取締役CTO。東京大学理学部情報科学科卒。東京大学大学院情報理工学系研究科にてコンピュータ科学を専攻。分岐予測・メモリスケジューリングを研究。修士(情報理工学)。修了後は、グーグル株式会社(現・グーグル合同会社)に入社。Android、Chrome OSチームにて、Text Frameworkの高速化およびLaptop対応、ソフトウエアキーボードの履歴・Email情報を用いた入力の高精度化、およびそれを実現する高速省メモリ動的トライの開発、ジェスチャー入力の開発に従事。2016年、モノグサ株式会社を竹内孝太朗( CEO )と共同創業。CTOとして記憶のプラットフォーム「Monoxer」の研究開発に従事。
吉金 佳能 先生(宝仙学園小学校 教諭)
宝仙学園小学校教諭。同校の理科専科、ICT教育研究部主任。現在は、東京私立初等学校協会理科研究部主任も務める。東京地区有数のICT先進校の同校で、ICT教育研究を牽引。同校は、2015年度よりタブレット端末活用をスタートし、2020年度に全校児童1人1台iPad体制(CYOD)へ。主著『ICTで変わる理科授業 はじめの一歩』(明治図書)。
高橋 通明 先生(誠恵高等学校 教頭)
平成4年より誠恵高等学校勤務。普通コース~進学コース担任、教務主任を経て、平成30年より教頭。教科は国語。文芸部顧問。モットーは「何か起きたらまず笑うw」
岩間 大晃 様(waysChinese 運営担当)
IPU NewZealand大学を卒業後、自身の語学学習の経験を活かし、中国語教室「waysChinese」の運営に参画。教室運営業務を行いつつ、中国語を勉強し生徒としての視点からも日々改善を実践。
李 肖楠 先生(waysChinese 代表講師)
横浜国立大学大学院教育研究科修士課程修了。waysChineseを0から立ち上げ、2019年より中国語教室「waysChinese」代表講師を務める。9年間の講師経験を経て、1,000人以上を指導。「総合トレーニングコース」を開発し、AIアプリも活用したハイブリッド教育のデザインも実践。
『記憶はスキル』を通して伝えたいこと
畔柳圭佑(モノグサ株式会社 代表取締役CTO)
畔柳:モノグサ株式会社でCTOをしております、畔柳と申します。まずは、自己紹介からさせていただきます。以前は Googleで、androidの開発を担当しており、2017年からは弊社で記憶のためのプロダクトを作っており、プロダクトの開発を担当させていただいております。
モノグサ株式会社はミッションとして、『記憶を日常に。』ということを掲げております。
そもそも記憶という要素は、人類が知的活動を行っていく上での根源的なものです。誰もが日々の生活の中で自然に記憶し、記憶に基づいて判断を下していると思います。
しかし、例えば「明日までに、英単語を1000語憶えなければならない」となったときに、それは苦しいことだと捉えられてしまいます。
こういった記憶に関するプロセスをMonoxerによって簡単にし、苦しみのない記憶のプロセスの提供や記憶に基づいてより円滑なコミュニケーションを取ることを可能にしていくことを実現したいです。 さらには、記憶をしやすい形で情報を流通をさせていくことに取り組んでいきたいと考えております。
さて、『記憶はスキル』という本は、先ほど紹介させていただいた通り、4月22日に発売された本です。
内容は、Monoxerのサービスを開発をしていくなかで、記憶に関して調査をしたこと、その中で記憶に関する重要な知見や、一般的に役立ちそうなものをまとめました。
記憶を身近に感じられたり、記憶って辛くないことだと思っていただけると幸いです。
この本を通して伝えたいところを、本日3点まとめてきております。
1点目として、情報へのアクセス性が高まるほど、記憶は重要になっていくということです。
かつて、情報は誰もが入手できるものではなく、正しいものやより良いものを入手することが大切だったと思います。
そこからITの進歩により、新しいツールを使えるかどうかが、情報の入手に大きな影響を与える要素となってきています。
ただ、誰もが情報を検索できるようになり、アクセスできるようにしていくことが進んでくると、個人で入手できる情報に差がなくなってくるような世界になると思います。
そうなると、この情報を正しく受け取って、解釈をして、組み合わせて、新しいものを生み出していくという力が、個人の能力の差、1番大きな要素になってくると考えています。
個人が何を、頭の中に持っているのかということ、つまり、記憶の要素がアウトプットを生み出していく上での最大のポイントになってくると思います。
2点目は、記憶のステップです。
憶えること、憶えた状態をキープをすることは、ソフトウェアに任せられるところも多くあると思っています。Monoxerのようなプロダクトを活用し、仕組み化をすることによって、誰でも可能になります。
最後のポイントは、感覚に頼らない記憶のプロセスが大切だということです。
本の中で紹介した実験ですが、英単語の記憶で「50%程度、記憶した」という人がいましたが、実際に記憶できているのは15%程度でした。憶えられたと思った割合と、実際に憶えられた割合が全然違うということが、実験の結果として表われました。 しっかりと客観的な指標に基づいて、同じ基準で記憶の判断をしていくということが大切です。
感覚に頼らずに、何かをしていくことは、人間にとって難しいことで、記憶ということに人が向き合っていく上での最大の障壁になるのではないかと思っています。
これ以外の実験でも、実際の人間の感覚とは違うことが多々ありました。感覚に頼らずに、記憶のプロセスを進めていくということが、記憶に苦しまないようにしていく上では重要なポイントだと思っています。
本の中には、他にも、記憶をしやすい、定着させやすい方法の紹介であったり、 記憶していくための学習を習慣化していく上ではどうしたらいいのかといったところや、 あるいは記憶のモチベーションを維持向上させていくには、どうしたらいいのか、といったことも紹介しています。
それぞれの教育現場における記憶
吉金佳能先生(宝仙学園小学校)
高橋通明先生(誠恵高等学校)
岩間大晃様 李肖楠先生(ways chinese)
【吉金佳能先生】
吉金:宝仙学園小学校で理科を担当している吉金と申します。本日は学校教育と記憶についてお話をさせていただきます。今日1番伝えたいのはこの図です。
クリエイティブは創造性、コラボレーション力とかコミュニケーション力のことで、現在の学校教育でとても大切にされていることです。
畔柳さんの本を読んで1番いいなと思ったのは「アイデアは記憶から生まれる」(『記憶はスキル』P32)という言葉です。コンピテンシーベースの教育をきちんとやろうと思ったら、本当にベーシックなところにフォーカスしないとできないと感じています。
本校では、「いかなる時代においても自ら学び他者と共に考え行動できる人」をディプロマポリシーとして教育をつくっています。こうした人がどんな能力を持ってるかというと、下記の図のようになります。
ここでベースとなるのが知識と技能です。技能は、読み、書き、そろばん、そして、もう1つ情報活用能力です。こうしたベースがあるからこそ、この三角形を最大化することができると考えています。
知識って実はすごく大事です。 そもそも、読み書きそろばんも、知識がないとできないことです。学校教育において、知識と技能は基礎基本の徹底と呼び、どこの学校も頑張っていると思います。しかし、基礎基本を全て子どもに徹底できますか(自己肯定感を落とさずに)、と聞かれたときに自信持って答えられる先生は、なかなかいないと思います。 教師は、教育のプロではありますが、学習のプロではないと感じています。
そもそも、基礎基本は知識の習得です。「習得」、これは理解して身につけることです。
では、この「理解」は何かというと、これは畔柳さんの本に載っていた記憶の組み合わせなのです。そして、「身につける」のは「定着」ですよね。
では、子どもたちの現状はどうなっているかというと、「漢字10回書きなさい」とか、「声に出して読みなさい」とか、そこに理論があるようには思えませんでした。しかし、Monoxerが入ったことで、我々大人は記憶について考えるきっかけになり、子どもにとっては記憶をサポートする有効な選択肢が増えたのだと感じています。
【高橋通明先生】
静岡県の沼津市にあります誠恵高等学校で教頭をやっております。 芸術コースを中心に力を入れてる学校です。学校の宣伝もしたいのですが、Monoxerの導入した経緯を簡単に説明します。2019年夏、某社のプロジェクトに参加しいたしまして、講師の現役東大生が、Monoxerを「未来の暗記パン」、「リアル暗記パン」と紹介していたのがきっかけです。
2020年の4月から全校導入しましたが、 復習や家庭学習の習慣が当校の生徒は少なく、なかなか取り組んでもらえませんでした。
そこで生徒が好きなことや知っていることを発信して、まずは、Monoxerを理解してもらおうという取り組みから始めました。ゲームやアニメが好きな生徒がとても多いので、そういった分野の用語クイズなどをつくって配信したところ、徐々に取り組む生徒が増えてきて、認知度が上がってきました。
そして、一部の教員もそれを共有して授業の復習問題を配信するようになりました。
その結果、毎日全校生徒の半数前後、今まで全く勉強しなかった生徒たちも自発的に取り組めるようになりました。
現在はこのような状況です。
このような4つのコンテンツを今のところ駆使して、少しでも生徒が苦手な記憶領域に関して効率的にアクセスするための手法を色々と試している状態です。
【岩間大晃様】
waysChinese(ウェイズチャイニーズ)運営担当の岩間大晃と申します。大元の運営会社はウェイズリンクスという会社になります。教育のコンサルティングの会社で、教員や大手企業でのビジネス経験者が多く所属しております。
その一人一人の知識やつながりを活かした活動を行っておりまして、多様な経験や知識を持つメンバーをカラフルワーカーと承しています。現在は横浜ランドマークタワーのオフィスに約60名ほどのメンバーで活動しております。
5つのサービス事業を立ち上げて、そのサービスの1つが、waysChineseという中国語教室になっております。
これまでの日本における中国語教育を変えたいという気持ちで、立ち上げた教室で、全国で初めてプロ講師とAIのハイブリッド形式を導入した学校です。
中国語「を」学ぶのではなく、中国語「で」学ぶというところで、中国語脳を育成して、 本当に喋れる中国語を勉強することを目的としています。
【李肖楠先生】
中国の大学を卒業して、講師として4年間働き、日本の大学院教育研究科に入りました。
waysChineseでは授業の開発や運営を行っています。今年は講師として10年目になります。私が日本に来てから大きな課題を感じたのは、日本における中国語教育でした。
waysChineseでは、科学的にアプローチするために、言語間距離という問題から、アプローチを始めました。
簡単に説明しますと、各言語同士には距離があります。例えば、日本語と英語は距離があるため、日本人の方が英語を習得する時間は、約2,500時間ぐらいが必要とされてます。
一方でフランス人の方が英語を習得するには、言語間距離が近いので、それほど時間を必要としないということになります。
そこで、私たちは母語をベースとした学習法ではなくて、ネイティブ方式で授業をやってます。これは、赤ちゃんが言語を学ぶのと同じやり方になります。
赤ちゃんは、文字に頼ることなく見えている映像と音声で、自然と記憶をして話せるようになります。 誰でも話せるようになることを目指して、無理な勉強方法をやめたという取り組みです。
通常の中国語教室では教科書のテキストを見ながら授業するのが一般的です。しかし、これは赤ちゃんが言語を学ぶ方法ではありません。
私たちはこの内容をすべてイラストや図にして授業を展開しています。
文字に頼らなくなるため、これにより音声や映像が脳に記憶として残りやすくなり、習得も早くなるということになります。
Monoxerは宿題として配信し、自宅でも授業と同様のトレーニングができるようにして、その記憶力を測定するなど、Monoxerが得意な部分を最大限に発揮して使用しています。
学習における記憶を考える
畔柳圭佑(モノグサ株式会社 代表取締役CTO)
吉金佳能先生(宝仙学園小学校)
高橋通明先生(誠恵高等学校)
岩間大晃様 李肖楠先生(ways Chinese)
畔柳:学習における記憶の要素とは一体何なのか、どういう役割なのか、どのように位置づけるべきなのか、といった観点からそれぞれの先生方にお話を伺えたらと思っております。
髙橋先生:はい。私は以前、根性論で記憶を捉えてた時期がありましたが、ある時気づきました。記憶は、ご飯に例えると野菜なんですよ。魚がメインになったり、肉がメインになったりするんですけど、やっぱり野菜は取らなくちゃいけないんですよ。
野菜が嫌いな人に野菜を食べさせる工夫をするわけじゃないですか。それと同じで、「表現や主体性」と「記憶」って真逆のものみたいな捉え方をされていますが、善悪2元論で捉えない方がいいのかなと思いますね。
畔柳:記憶は野菜ということですね。これから私も(その表現を)使ってみようかな。おっしゃる通り、記憶は嫌われがちな要素かなとは思います。
吉金先生:記憶したものを組み合わせて、いかに解釈するかということがすごく重要だと思います。『記憶はスキル』52ページも書いてありますが、記録することによって学習スピードが加速しますよね。記憶する上で記録することが大事な要素だと思っています。
畔柳:ありがとうございます。とても大事なポイントで、一番伝えたいと思っていた要素の1つです。
李先生:言語の学習という観点から4つの要素をお話しします。まず、言語の記憶は文字より映像の方が残りやすく、要素の1つ目は映像だと思います。
次に、音です。例えば、歌詞だけを憶えるのは憶えにくいかもしれませんが、メロディに合わせると憶えやすくなります。言語の勉強も全く同じで、1つひとつの言葉の文字で憶えるのではなくリズムを憶えると、より憶えやすくなります。
3つ目について、本書にもありましたが、エピソードも記憶の要素だと思います。1つの単語や文法を憶えるより、それらをつくるストーリーと一緒に憶えると長期の記憶にもつながります。
そして、これら映像や音、ストーリーを使って反復練習すると記憶することは面白くなります。私たちは母国語を学ぶとき、自然にお母さんの話を何十回も反復練習し自然に習得します。それも記憶の要素だと思います。
岩間様:記憶は興味の要素が強いと思います。自分の好きなものに関しては、どんどん記憶を進めていって、そこまで苦労しないかなというように思います。
また、刺激ですね。Monoxerのようにゲーム感覚でやれる、そういった刺激が1番重要なのではないかと思います。
司会:チャットでのご意見ですが、「記憶というものが体育会系でいくと、筋トレランニングに相当し、とても地味だけど、やらなければいけない学習部分なのではないかと思います。」
先生方の皆さんの認識はいかがでしょうか。
畔柳:おっしゃる通りですね。これは筋トレ的ですね。
記憶をするのが辛いから、英語が嫌いになったり、新しい資格を取るのを敬遠してしまうのかもしれません。
体力をつけるために、いま筋トレやストレッチをしていく。ちゃんと目的を設定すれば本質的には辛くない活動にしていけるのではないか、という風にも思います。
興味を持つからこそ記憶ができるし、記憶しているからこそ興味が持てるところも多くあるなと思っております。そういった観点から「記憶を続けていく」ということ自体は、苦しくなく行えるところも、かなりあるのではないかと思っております。
吉金先生:小学校は、インプット、アウトプット、フィードバックですね。記憶はインプットですが、授業で大事なのはアウトプットのデザインだと思っています。デザインがしっかりした授業作りができれば自然にインプットしたくなると思うんです。筋トレであることは間違いないのですが、楽しく筋トレできる人もいますよね。そういうふうに授業を作りたい思いは強いです。
髙橋先生:吉金先生と期せずして一致してしまいました。記憶だけ根性論で、僕もかつては「ここはもう記憶、根性しかねえよ。」って生徒に言ってましたけど、Monoxerが出てきてからは、「これ憶えなきゃいけないからbook(問題集)作って配信しとくよ」って言うと、生徒はやってくれるんですよ。憶えろよっていうと抵抗がありますが、配信という言葉には弱いようです(笑)。
李先生:いきなりハードルが高くなると記憶するのは辛いと思いますが、そのハードルを少し減らして階段みたいに、1上がったら2に上がって、3に上がって...自分が進行している姿を見るとやっぱりだんだん励みになります。
私たち教師は、どうすれば生徒たちのハードルを減らしてちょっとでも楽にさせることができるかを考えるのが大事だと思います。
岩間様:最近は、YouTubeなどのストーリー仕立てのもの、映像仕立てのコンテンツがあります。それらを活用し、憶えなければならないことを文字として単純に記憶しようと考えず、別の媒体や形式に変えて記憶していくことが重要だと思います。
畔柳:次のテーマは、学習者に「記憶の重要性を伝える工夫」です。
記憶をすることの重要性をしっかりと伝えていくことはとても重要だと考えております。そういった観点から何か工夫をされているポイントはありますか?
吉金先生:モニタリング、すなわち自分の状態を把握することが実はすごく大事なんです。そのためにICTツールは非常に有効だと思います。
畔柳:そうですね。自分の状況を正しく把握をするという上で、ICTツールの活用は大切だと思います。自分が記憶できているかを把握するのは記憶に向かっていく上でも大きな課題であります。自己調整の観点からもITツールを活用して自分の記憶を把握することは重要だと思います。
髙橋先生:Monoxerを扱っていく中で思ったのですが、記憶という行為そのものが苦手である、できないという人は、それほどいないと思うんですよ。
憶えたくないことを記憶しないだけであって、ある分野に特化するなどして記憶する行為自体はみんな得意なんです。
例えば、魚の釣り方は頭に入ってるけど、数学は苦手とか。ゲームがものすごく好きで、ゲームキャラの名前は沢山知ってるけれど、英単語が入らないとか。記憶のタンスはみんな持っているんですよね。最初はそうしたみんなの得意分野からクイズを出して自信を持たせます。続けて英語や数学が出ても、使い慣れたMonoxerだから、やってみようという気持ちになるのだと思います。
畔柳:本質的に記憶ができない人や苦手な人がそんなにいないというのはまさにその通りだと思っています。趣味に関するところから記憶していくことを通して、記憶に対する障壁を下げていくのは生徒さんたちにとっても効果的だろうと感じました。
李先生:この問題は、「憶える」と「理解」の角度から話したいと思います。
憶えても必ず理解できるわけではありません。また、今理解できなくても、時間と経験とともにどんどん理解ができるようになり、理解を変えていく可能性もあります。
「理解できる=憶えられる」と言っていいと私は思います。「理解できるけれど憶えられない」という状態は細部の所がまだ理解できないのだと思います。
この本や先生方のも話にもあったように「新しいアイディアは、記憶から生まれる」という考えに共感します。新しい気づきのおかげでどんどん進化でき、それは私にとって記憶の重要性の一つです。
畔柳:おっしゃっていただいたように、理解をしていくためには記憶が必要で、だんだんといろいろな経験を積んでいくことによって理解が深まっていきます。理解をしていく観点でも記憶は非常に重要だと思っております。
岩間様:人が何か行動を起こすときって、元々のベースがない場合は人の真似をして始めたり、ベースの記憶がある場合は、それを応用して物事を進めていくと思うんですね。
そういった意味でも、材料となる記憶を持っていないと自分で新しいこともできません。
畔柳:新しくオリジナリティーを出していく上でも、記憶やその定着がなければできないですね。
司会:参加者からの質問ですが、「記憶しやすい形での情報の流通とは、どういうことでしょうか?
また、情報へのアクセス性が高まるほど、記憶が重要になるという点と重なると思いますが、現在、 新学習指導要領の中で主体的対話的学びが大事だと言われている中で、記憶の重要性も伺えればと思います。」ということですが、いかがでしょうか?
畔柳:「記憶をしやすい形での情報の流通」、これはMonoxerとして実現をしていきたいところだと考えています。
例えば単語帳を1つとってみても、単語帳が果たしている役割は、記憶すべきものをまとめているというところにとどまってしまっているな、と思います。
それを学習する方々に届けていくことを通して、単純にまとまっているだけではなく、その単語をちゃんと記憶できる形で届けていくということですね。
単語だけではなく、いろいろなものを記憶できる形で届けていくことに、これからもどんどんと取り組んでいきたいと思っています。
吉金先生:「概念的知識」と「知識」でちょっと違うのかなと思いまして。 科学的概念は知識の組み合わせではあるんですけど、やっぱ体験しないと理解ができない知識もあるかと思います。そういう知識はやはり、学校での体験を通して学ばせることが重要だと思っております。断片的な部分でMonoxerを活用しています。
髙橋先生:人が学ぶこということは、人類の歴史の積み重ねです。学んで、憶えて、そこから、新しい自分の創造を創り、それを時代に伝えていくという人間の営みの中の1ページだと思います。だから、そもそも記憶がいらないという考え方はあり得ません。無から有は生み出せません。
司会:最後の質問です。「個人的には聞くより、話す方が記憶しやすいのではないかと思うのですが、先生はどのようにお考えでしょうか。」
岩間様:自分自身も中国語を勉強していて、中国語文章の音声を聞いても「後で自分で話そう」と思って聞かないと全然憶えられないですね。
逆に自分が話すことを想定して聞くことで、ストーリーとして記憶が残って、言い回しや内容の順番が思い出せると思います。
李先生:「聴く・読む」はインプット、「話す・書く」はアウトプットで、一つの輪になると思っています。どちらが大事ではなく、バランスです。
インプットされたものを簡単でいいからそのままアウトプットする。それが全部できるようになってから、次のステップとして、自分からストーリーを作ったり話したりできるようになると思います。
おわりに
当日ご参加くださった皆様、また、本レポートを最後までお読みくださった皆様、誠にありがとうございました!
Monoxerに興味が湧いた!もっと知りたい!という方は、是非資料請求や無料トライアルのお問い合わせをいただけますと幸いです。
また、今後も継続的にイベントを実施しておりますので、是非ご参加ください。
今後とも、解いて憶える記憶アプリMonoxerをどうぞよろしくお願いいたします。