セミナーレポート

7/13「横浜市立中学校必見!ICTの採択・活用のお悩みを解消する実践紹介セミナー」セミナーレポート

こんにちは、モノグサの中村です。
2022年7月13日(水)に、「横浜市立中学校必見!ICTの採択・活用のお悩みを解消する実践紹介セミナー」を開催いたしました。

今回は、横浜市立鴨居中学校の長島和広先生・飯田隆司先生と横浜市立菅田中学校の松浦和輝先生にご登壇いただき、ICTの採択・活用に関するお悩みの解決に繋がるようなお話を伺いました。
ICTの導入に携わっておられる方を始め、教育関係の皆様に本セミナーの模様をレポートいたします!

セミナー登壇者プロフィール

長島 和広 先生(横浜市立鴨居中学校 校長)

神奈川大学法学部卒業。渋谷教育学園勤務を経て、横浜市中学校教員に。教科は社会科。横浜市教育センターの一種研究員から指導主事となり、教職員研修を担当。その後、小・中学校での副校長から横浜市教育委員会事務局教育課程推進室首席指導主事として、GIGAスクール構想における教育課程編成を担当。22年4月から横浜市鴨居中学校校長として勤務。

飯田 隆司 先生(横浜市立鴨居中学校 教諭)

1974年埼玉県生まれ。東京都公立中学校、都内私立中学校・高等学校の勤務を経て2010年より横浜市へ。2020年度から情報教育推進校である鴨居中へ赴任。昨年度からGIGA推進係を担当。
鴨居中学校では昨年度より生徒一人ひとりに貸与されたGIGA端末を大いに活用した授業が展開されています。その中で、AIドリル「Monoxer」は知識習得の効果を上げるのか、授業にいかに活用できるのかを検証しています。「Monoxer」の活用は、今年度で2年目となり、その効果と課題点をブラッシュアップしている最中です。

松浦 和輝 先生(横浜市立菅田中学校 教諭)

1990年生まれ、兵庫県出身。岡山大学大学院教育学専攻科で学校教育学を専攻。大学院在学中は発達心理学を中心に学び、キャリア教育とソーシャルスキルトレーニングの関係について研究を行う傍ら、在学していた工業高専の吹奏楽部のOB楽団を立ち上げ、指揮者として音楽活動を継続していた。教科は理科。進路指導主任と情報管理係のチーフ、吹奏楽部の顧問を兼任している。

Monoxerを活用したカリキュラムマネジメント(横浜市立鴨居中学校)


長島先生:
学習において知識の暗記は目的ではなく、子供たちの気づきを生むためのベース作りと捉えています。
獲得した知識をスタートとして、そこから子供たちが実社会の中で生きて働く知識・技能に育てていくことが「授業」だと考えております。

そこで本校では知識の定着という部分にMonoxerを活用しながら、授業では対話や協働学習を行うことで、生徒たちが新たな気づきを得たり関心を広げられるようにしていきたいと思っています。

従来の授業は一斉授業型で、導入にあたる知識の暗記や講義といった部分の比重が多くなっていました。

これからの授業ではMonoxerを活用していくことで導入部分を効率化していき、生徒が主体となった対話の時間や、振り返りといった部分の比重を多くしていきながら、授業観の転換を行っていきたいと思っています。

管理職として先生方に新たな授業観を持っていただくためには、枠組み作りによる支援をしていくことが重要だと考えました。

そこで本校では毎日15分間の「モノグサタイム」として、Monoxerを使って生徒たちに知識を獲得してもらう時間を作りました。
この時間を生み出すために学習指導要領の年間標準時数を分単位で計算しながら、授業時間の変更も行っています。

このように体制を整えることはMonoxerの学習時間を確保するだけでなく、教育課程の変化に向けて組み込むといった面も意識しており、将来的に端末の持ち帰りが自由にできるようになれば家庭学習とも繋げていきたいと考えております。

 

両校におけるICTツールの活用方法と、学校教育全体での位置づけ

松浦先生:
菅田中学校ではICTツールとして主にGoogleのアプリケーションとノートアプリ、Monoxerを使いながら学習活動を行っています。
活用状況は学年や教科によって異なり、積極的にICTツールを使っている教科もあれば、従来通り紙のノートやワークブックを用いて行われる授業もあります。

また、授業以外にもICTツールを活用していきたいと考えており、現在ではGoogle Meetを使った全校集会を行うなど様々な広がりを見せています。


飯田先生:
コロナ禍の影響でGIGA端末の導入が一挙に進められた中学校も多いと思いますが、鴨居中学校はその以前からiPadを使い、ICTを活用した授業に学校全体として取り組んでおりました。
加えて「モノグサタイム」としてMonoxerを使った朝学習の時間を設けており、また特別活動にはGoogleのアプリを活用しています。

コロナ禍の影響を受けてからは、菅田中学校様と同じく集会をGoogle Meetで行ったり、分散登校の際に、教室とオンラインで同じ内容の授業を受けられるような工夫をしていました。

ICTツールの位置づけとしては、まず授業改善において大きな役割を果たしていると考えております。
また、保護者様との連絡ツールや自動採点ソフトの導入により教員側の業務改善にも繋がっており、働き方改革としての位置付けもされています。

 

ICTツールの導入・活用方法の検討をどのように進めていったか

飯田先生:
導入ということで述べると我々は教員という立場上、ICTツールが良いとはわかっていても、やはりリスク面を考慮してしまい前に踏み出せなくなりがちです。
そこで、まずは教員側の気運を高めていくことが最重要と考え、「失敗してもいいからとにかくやってみよう」というトライアンドエラーの精神で導入に臨んできました。

本格的なICTツールの導入検討としては、コロナ禍の分散登校でオンライン授業を行う際に、ネット環境の調査をしたのがスタートでした。
9割以上のご家庭ではネット環境が揃っていたので、揃っていないご家庭には横浜市の方にもお願いをしてルーターの貸し出しを行い、100%を目指してからという形になりました。

課題として挙がったのは、授業外で生徒たちの端末をどこまでフィルタリングしていくのかといった部分のルール作りですね。
本校では昨年「ICTサポーターズ」という生徒たちの組織を作り、こちらからは「自分も含め誰も嫌な思いをしない」ことだけをテーマとして伝え、後は生徒自身にルールを決めてもらいました。

それでも時おり改善すべき点は現れますが、それも含めトライアンドエラーとして、何をもって本当に駄目なのか、失敗となるのかといった捉え方も重要ではないかと考えております。


松浦先生:
令和2年度より、横浜市としてもGIGAスクール構想の実現に向けて動き始めましたので、それに伴い菅田中学校でもGoogleアプリの研修を行うなど土壌作りを始めました。

この頃は教員用のパソコンが5台しかなく、実際に手元でパソコンが見られない状態での研修ということもあり、結構風当たりは強かったです。
特に「生徒にパソコンを持たせると遊んでしまうのではないか」といった懸念の声が多かったですね。

しかしICTの活用を広げていくにつれて、徐々に雰囲気も変わってきました。
例えば生徒総会ではこれまで「賛成・反対」の投票を拍手で行っていたのですが、リモートにより開催されることで投票にアンケート機能が活用でき、実際の投票数が見えるようになったのです。
少しずつこうしたメリットが伝わっていくことで、職員の中でもICTに肯定的な意見が現れ始めてきました。

そのような中、自分としては勉強が苦手な生徒に学習習慣を付けるためにもアダプティブラーニングに対応したデジタルドリルを導入する必要性を感じており、そこで候補に挙がったMonoxerを導入することとなりました。

コロナ禍における教育ではオンライン授業などの努力をしていても、やはり生徒に自主的に学習へ取り組んでもらわなければならない時間も出てきます。
そうした場合にMonoxerを始めとしたICTツールでは、リアルタイムで生徒が取り組んでいる様子を確認することができたので、その必要性を強く感じることができました。

ICTツールの導入を進めていく上では先生方に言葉で説明することも必要ですが、こうして生徒たちが前向きに取り組んでいる姿を見てもらうことも大切なのではないかと感じています。

 

ICTツールの活用により起こった変化について

飯田先生:
生徒たちはICTツールを使い始めると、とにかく使い方を習得するのが速いです。

例えば本校では英語と理科でデジタル教科書を使っているのですが、生徒間で情報を共有しながらどんどん新しい方法を身に付けていきます。
こちら側は正直そのスピードについていくのががやっとというか、下手するとついていききれていないなという感もあります。

しかしそうして日々を過ごしていくと、教員側も何か便利だと感じたものは積極的に取り入れていくような姿勢が生まれてきています。
例えばベテランの先生方にしても、今までは全く馴染みの無かったツールに対し、ふと我々が使っているのを見て興味を持っていただき、実際に授業に取り入れてくれたこともありました。

このようにICTツールを活用していく中でアップデートされていく感覚、日々の進化といった部分は強く感じていますね。

松浦先生:
変化という部分で、私は「個別最適な学び×協働的な学び」をテーマに授業のアップデートを行いました。


まず授業の冒頭10分間は個別最適な学びの時間として、授業の振り返りやMonoxerへの取り組みなど各自で自由に時間を使ってもらっています。


その後授業が始まると生徒は机をコの字型にしてグループ学習を行い、シンキングツールを使って自分の考えを深めたり、話し合い活動を通して協働的な学びに取り組んでもらいます。

こうした授業を行っていくと、生徒たちは本当に様々な学習方法を自ら編み出して実践するようになります。
実験結果の報告や単元末のパフォーマンステストでは「どんな形式で提出してもいいよ」と伝えたところ、上のスライドにあるように各自が創造性を発揮して個性豊かな形式で提出してくれています。

最後の授業アンケートでは「(新しい形式の授業を通して)自分にどんな能力が付きましたか?」と聞いたのですが、「論理的な思考が身に付きました」「結果から自分で考える力が付きました」など、学年の半数以上がポジティブな回答をしてくれました。

また「Monoxerを使うことで2年生の時より学習時間が伸びましたか」という質問には、計100人以上の生徒より「学習時間が伸びた」との回答がありました。
こうした結果から見ても、自分で学習をするということがハードルになっていた本校にとって、Monoxerは非常に大きな後押しになっているのではないかと感じています。

また先日の単元末には、生徒に昨年度の理科入試問題を解いてもらいました。
すると16点満点中、16点と12点を取った生徒を合わせて75名、つまり学年のほぼ半分の人数が高得点を取るという結果が出ました。

生徒たちからも「思っていたより簡単だった」といったリアクションが出ており、本当に知識を定着させることと、思考のプロセスを身に付けさせることの重要性を深く実感することとなりました。

 

今後Monoxerを活用して実現していきたいこと


松浦先生:
先ほどの話に関連するのですが、理科の授業内では形成的な評価を返す「Cテスト」と総括的な評価を返す「Bテスト」を実践しています。
これらを行うことで現在の実力がわかり、これからの学習の見通しもつけられるため生徒からも大変好評となっております。

なので他の教科においても「Cテスト・Bテスト」を取り入れていただくなど、今後さらにMonoxerが生徒たちに活用されていくような取り組みを広げていきたいと感じています。

飯田先生:
昨年度に比べ今年度からはMonoxerでの朝学習が15分になり、教科においても理科と社会で取り入れられるなど利用が拡大しています。
このような流れを踏まえ、直近の目標としては夏休みの課題についてもMonoxerにて配信できればと考えております。

また、後期からは授業の中でも利用していきたいと考えており、特に反転学習というところでMonoxerの利点が最大限生かせるのではないかと思っています。
加えてMonoxerでは簡単にbook(問題集)も作れるのですが、それをまだ全ての教員ができるところまでは達していないので、後期に向けて勉強会などにより教員側のスキルアップも行っていきたいです。

何より、まだMonoxerの利点については全ての先生方に伝えきれていない部分もあるので、あらゆる場面で成果を発揮することを是非とも実感していただきたいと感じております。

おわりに

当日ご参加くださった皆様、また、本レポートを最後までお読みくださった皆様、誠にありがとうございました!
Monoxerに興味が湧いた!もっと知りたい!という方は、是非資料請求や無料トライアルのお問い合わせをいただけますと幸いです。
また、今後も継続的にイベントを実施しておりますので、是非ご参加ください。
今後とも、解いて憶える記憶アプリMonoxerをどうぞよろしくお願いいたします。

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